タイ南部トラン県ムアン区クワンパリン町のクワンパリン交差点に設置されていた「プーダム・パン(黒蟹のオブジェ)」が崩壊し、地元住民が痛烈な批判を上げている。1体138万バーツ(約650万円)で建設された蟹のオブジェだが、爪部分が崩落し、内部の鉄骨は数ミリ厚の薄い鉄管・錆だらけ・コンクリート薄さ4cm程度という手抜き構造が露呈した。これはトラン県の「観光振興4方向プロジェクト」(総額1.2億バーツ)の一部で、4箇所の入口に類似の蟹オブジェが設置される計画だったが、長期間放置され朽ちている状況だ。
138万バーツの蟹オブジェが崩壊、爪が地面に落下
事案が発生したのはトラン県ムアン区クワンパリン町のクワンパリン交差点。1体138万バーツの予算で建設された「プーダム・パン(タイ語で『揉み黒蟹』)」のオブジェの爪部分が崩落し、地面に大量の破片が散乱した。幸い周辺に通行人がおらず、けが人は出なかった。オブジェの建設費は鉄骨構造工事・コンクリート造形・表面仕上げ・塗装の4工程に分けて積算され、観光客にトラン県の名物である「プーダム」(地元名物の渡り蟹料理)をアピールする狙いで設置された。
内部は鉄管薄さ数mm・錆・コンクリート4cm
崩壊した部分の断面を見ると、構造の杜撰さが鮮明に露呈する。蟹爪を支える主構造は幅4インチ(約10cm)の角型鉄管だが、厚みはわずか数ミリと屋外彫刻物に必要な強度を大きく下回る。鉄管同士の接合部はリブ鋼線(コンクリート鉄筋)で結ばれていたが、ほぼ全箇所で折れて損傷。鉄全体に錆が深く進行しており、ワイヤメッシュ(コンクリートの補強網)も錆で切れて剥がれている。コンクリート被覆も約4cmしかなく、屋外耐久性は明らかに不足だ。
観光振興4方向プロジェクト総額1.2億バーツ、放置で批判
このオブジェはトラン県の「観光振興4方向プロジェクト」(งบส่งเสริมการท่องเที่ยว 4 มุมเมือง)の一環。県内4つの主要入口にそれぞれ蟹オブジェを設置して観光客の到着体験を演出する計画で、総予算は約1.2億バーツに上る。しかしオブジェ完成後の維持管理が手薄で、長期間放置された結果、今回の崩壊につながった。地元住民からは「税金1.2億バーツを使った観光プロジェクトが、わずか数年で朽ちて崩れた。誰が責任を取るのか」という声がSNS・地元メディアに溢れている。
トラン県の連続スキャンダル、空港天井崩落とセットで批判
トラン県は最近、公共インフラの手抜き工事スキャンダルが続いている。直近では、2024年9月に開業したばかりのトラン空港新棟で大雨による雨漏り・天井崩落が発生し、10億バーツを投じた国際空港格上げ計画への信頼が揺らいだ。今回の蟹オブジェ崩壊も同じ流れにあり、「予算は使ったが、品質管理が伴っていない」というトラン県政の構造的問題が浮上している。観光業を主要産業とする県にとって、こうした事案の連鎖は観光客誘致の足を引っ張る材料だ。
駐在員家族のチェックポイント
タイ南部を旅行する駐在員家族にとって、こうした地方の公共インフラスキャンダルは「観光地の表面と裏側」を知る機会になる。トラン県は美しい海と新鮮なシーフード(特に黒蟹料理)で知られる人気観光地だが、行政の予算執行プロセスの杜撰さが県のブランドを傷つけている。県内の観光時には、公共施設(空港・展望台・モニュメント等)の劣化状況を意識して見ると、タイの地方行政のリアルが見える。地元食堂のプーダム(黒蟹料理)自体は今回の事案と無関係に変わらず美味しいので、トラン旅行を計画している場合は安心してほしい。