タイ南部クラビ県のマヤ湾(Maya Bay)で、国立公園・野生動物・植物局が「ブラックチップシャーク(クロトガリザメ)」140匹超を確認した。ドローンによる7日間の連続調査の結果で、最多記録は5月3日の140匹。早朝の海岸近くで20〜50匹の大人鮫が群がって獲物を狩る姿が観察され、稚魚の数も増加している。観光客の活動が制限される時間帯に鮫が浅瀬まで戻ってくる「自然回帰」が、映画『ザ・ビーチ』で世界中に知られたマヤ湾で確実に進んでいることを示すデータだ。
ドローン7日間調査、5/3の140匹は新記録
国立公園・野生動物・植物局のジンダー・シーソッパッポン海洋国立公園管理部長によると、マヤ湾でのブラックチップシャーク調査は5月上旬にドローンを使って7日間連続で実施した。期間中の早朝(夜明け前)が最も鮫が活発な時間帯で、平均120匹を観察。最高記録は5月3日の140匹で、これまでの調査で最も多い数になった。鮫の群が海岸ライン近くまで近寄って獲物を追い詰める姿が、ドローン映像と水中カメラの両方で記録されている。
大人鮫20〜50匹の集団捕食、稚魚も増加
特に注目されているのは、大人のブラックチップシャーク20〜50匹が集団になって浅瀬まで進入する行動だ。獲物となる小魚を追い込んで効率的に狩る、群行動の典型例といえる。水中ビデオの映像分析では、稚魚(baby shark)の数も以前より増えており、繁殖サイクルが安定してきていることを示唆する。マヤ湾は2018年〜2022年まで完全閉鎖、2022年以降は1日の来訪者数を制限する「限定再開」が続いている。今回の調査結果は、その制限政策の生態系への効果が出ている証拠といえる。
マヤ湾、世界が知る観光地の自然回帰
マヤ湾はピピレ島の小さな入り江で、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ザ・ビーチ』(2000年)のロケ地として一躍世界中に知れ渡った。ピーク時は1日5,000人超の観光客が訪れる過密状態で、サンゴ礁の白化と生態系破壊が進行。タイ政府が完全閉鎖を決断し、4年間の閉鎖期間中にサンゴ・ウミガメ・魚類の回復が確認された。再開後も来訪者数を1日400人前後に制限し、ボート係留禁止・遊泳禁止・トレイル限定での見学だけが許可されている。
駐在員家族のマヤ湾観光ガイド
クラビ・プーケットを訪れる駐在員家族にとって、マヤ湾は人気の旅行先だ。現在の運用ルールは(1)1日400人前後の限定入場、(2)事前オンライン予約必須、(3)遊泳禁止・トレイル散策のみ、(4)滞在時間1時間以内など。ブラックチップシャークが浅瀬まで群泳する時間帯(早朝)は基本的に観光客の入場時間外なので、観光中に巨大な鮫の群れに遭遇する心配はない。むしろ、マヤ湾の自然が回復しているからこそ、ブラックチップシャークが本来の生息地として戻ってきている事実を、子供への自然教育の機会として活用したい。観光予約はDNP(国立公園局)公式サイトから。