タイ東北部チャイヤプーム県のムアン区ノーンパイ町で2026年5月15日、第1夫人が「茶飲み(仲人役)」として夫のために第2夫人を娶る、というユニークな結婚式が行われた。持参金は現金30万バーツ(約140万円)と金5バーツ(約76グラム)。装飾車10台超とビッグバイク隊が連なる豪華な行列で、家族・友人・近隣住民が集まり大いに盛り上がった。SNSでも瞬く間に拡散し、タイ国内で話題になっている。
第1夫人が仲人、午前9時09分の縁起時刻
主催したのはユピン氏(通称「ピー姉」)という第1夫人。彼女が自ら茶飲み(タイの結婚式で新郎側の親族の代表として持参金行列を取り仕切る役割)になり、行列を率いて夫のヴィシュヌ氏のために第2夫人を娶りに行った。新しい妻となったのはオーン・ウマ氏(通称「ノーン妹」)。儀式の開始時刻は午前9時09分で、9が並ぶタイで縁起の良い時刻とされる時間帯だ。両家は「縁起時間」を選んだ伝統的な進行だった。
持参金30万B+金5バーツ+行列車10台超
持参金は現金30万バーツに、金5バーツ(タイの金重量単位、約76グラム)。タイの結婚式で「サインソート(持参金)」は男性側が女性側に納める伝統で、家族や地域の体面に関わる重要な金額だ。30万バーツに金5バーツという組み合わせは、地方のミドルクラスの相場としてはしっかりしたボリュームと言える。さらに装飾車(カラオケ車・行列車)10台超、加えてビッグバイクのキャラバンも合流し、村の通りは賑やかな式となった。
一夫多妻のリアルとSNS拡散
タイは法律上は一夫一婦制だが、地域や家族の事情でいわゆる「ミア・ノーン(小妻)」が存在するケースは珍しくない。今回特殊だったのは、第1夫人が隠さずに公に主導したことだ。両家・親族間で十分な対話と合意があった上での儀式とのことで、近隣住民は「もめずに収まるなら見事」「逆に羨ましい」など様々な反応を見せた。動画がSNSに上がるとタイ国内で急速に拡散し、肯定・否定を含めて議論の的になっている。一夫多妻の容認が一律的なものではなく、当事者間の合意と地域文化のバランスで運用されているタイ社会の一断面と言える。
駐在員が見ておきたいタイの結婚観
在タイ日本人にとって、タイの結婚観は日本とは異なる前提でできている。サインソート(持参金)の存在、両家での儀式進行、縁起時刻の重視、地域コミュニティとの密接さなど、結婚は「2人だけの問題」というよりは家族・地域の出来事だ。今回のケースは極端な例だが、「もめずに合意して進めれば、社会的に受容されることもある」というタイ的な柔軟さを象徴する事件として記憶されそうだ。タイ人のパートナーがいる駐在員にとっても、家族の合意プロセスがいかに大切かを再認識させられる出来事だ。