タイ東北部ブリーラム県のドンヤイ野生動物保護区で2026年5月15日、保護区の監視官がトラ(ベンガルトラ)の個体追跡作業中、野生のガウル(ヤギゾウシカではなく東南アジア最大の野牛)に襲われて重傷を負った。現場が陸路アクセス不可能な深い森の奥地のため、天然資源・環境省がヘリコプターを派遣して空輸救出。スチャート・チョムクリン同省大臣が直々に対応を指示し、40人体制の救助隊が編成された。監視官は無事に病院へ搬送され、命に別状はない。ドンヤイ森周辺は野生動物との接触事故が続いており、今月だけで既に複数件発生している。
トラ追跡中にガウルが突進、深い森の中で重傷
事故が起きたのはブリーラム県ドンヤイ野生動物保護区の深奥部。監視官たちはベンガルトラの個体数調査と移動パターンの追跡という保全任務を遂行していたところ、近くに潜んでいたガウル(東南アジア最大の野生牛、体重1トン超)が突然突進してきて、監視官1名が体当たりを受けて重傷を負った。ガウルは普段は穏やかな草食動物だが、群れの仔を守る時や驚かされた時には突進してくる凶暴さを見せる。
40人体制+ヘリで森から空輸救出
現場が陸路ではアクセスできない深い森だったため、天然資源・環境省は省所有のヘリコプターを緊急派遣した。アルッタポン・チャルンチャンサー国立公園・野生動物・植物局長が、ナコンラチャシマの第7保全管轄区域からの報告を受けて直ちに動員を指示。臨時のヘリポートを森林内に設営し、空輸救出に踏み切った。動員は計40名。ドンヤイ保護区の現場職員、第7保全管轄区域の保全・警備担当、ターパラヤ国立公園の救護隊が合流した。森の中は通信信号も限定的で、時間との戦いになる救助作戦だった。最終的に救助隊が監視官に到達し、空路で病院へ搬送された。
スチャート大臣「監視官の安全を全力で支援」
スチャート・チョムクリン天然資源・環境相は、すべての関連機関に対し、現場で働く監視官の安全を最優先で守るよう厳しく指示した。同省は今後も保護区監視官の業務支援を全面的に行い、天然資源と野生動物の保全任務を安全かつ効果的に遂行できる体制を確保する方針を示した。タイの保護区監視官は薄給で危険な業務に当たることが多く、装備や通信機器の改善は長年の課題となっている。
ドンヤイ森周辺の野生動物事故が続発
ブリーラム県のドンヤイ森周辺は、5月だけで複数件の野生動物関連事故が発生しているエリアだ。5月14日には別の野生象がパトロール隊長66歳を殺害する事故が起きたばかりで、今回のガウル襲撃と合わせて、この地域の野生動物と人間の接触リスクが顕在化している。野生動物保全と監視官の安全確保のバランスをどう取るか、天然資源・環境省は装備強化と人員配置の見直しを迫られそうだ。