タイ運輸省鉄道運輸局(DRT)のピシェット・クナダムラックス局長が2026年4月29日にマレーシア当局と二国間会合を開き、20年以上運休状態が続いていたタイ南部スガイコロック駅(ナラティワート県)とマレーシアのランタウパンジャン駅(ケランタン州)を結ぶ国境鉄道の復活を本格的に協議した。マレーシアの東海岸鉄道(ECRL、2027年1月完成予定)との接続を視野に、旅客便と貨物便の両方の運行再開を検討する内容となった。
会合はマレーシア側からの提案で実現した。マレーシアECRLが完成すれば、コタバル駅から南進してマレー半島東岸を縦断するため、コタバル駅から約30キロメートル先のスガイコロックと鉄路がつながれば、タイ南部ナラティワート県とクアラルンプール圏の貨物・旅客が線路1本で結ばれる構図となる。
タイ側ではハジャイからスガイコロックまでの約215キロメートルを複線化する計画も並行してフィージビリティスタディが進んでいる。現状のハジャイ-スガイコロック区間は単線・ディーゼル運行で速度・容量に制約があり、国境貨物の急増に対応できない。複線化が実現すれば、貨物列車の高頻度運行と旅客特急の所要時間短縮の両立が可能になる。
スガイコロック国境はタイ・マレーシアを結ぶ陸路ゲートウェイの一つで、現在は道路(ランタウパンジャン橋)と人の徒歩越境が主流。鉄道復活はマレーシア側の整備済み区間(ランタウパンジャン-クアラクライ-コタバル線)を最大限に活用する形となる。タイ深南部の経済刺激と、マレーシアからの観光・物流のパイプライン強化が同時に狙える。
タイ南部のナラティワート、ヤラ、パッタニーの3県は治安問題で日本人在住者にはやや遠い存在だが、鉄道がKL方面と直結すれば、ハジャイからの南下旅行や、KL→スガイコロック→ハジャイ→バンコクのバックパッカー周遊ルートとしての存在感が増す可能性がある。在タイ日本人にとっても、現在は飛行機・バス中心のKL移動で、長距離鉄道という選択肢が現実味を帯びる。
実現時期は両国の予算手当と工事スケジュール次第だが、マレーシアECRL完成の2027年1月以降の運行再開を視野に置く。タイ南部のインフラ近代化シリーズとして、首都圏ばかりでなく南部の動向にも注目したい。