タイ国内のある寺院で、信徒の家族と住職が8年前に寄進した「金製の仏像頭部(พระเกศ)」が、検査の結果ほぼ真鍮で、純金分は2〜3%しか残っていなかったことが判明し、住職が警察に告発する準備を進めている。タイ仏教社会では信徒の寄進金が裏で他の金属にすり替えられる事件が断続的に表面化しており、寄進文化の「裏側」を象徴する事件として2026年4月30日にバンコクの金店「นะโมบ้านช่างทอง(ナモ・バーンチャーンドーン)」のSNS投稿で拡散した。
8年前、信徒の家族はタンス入れていた金延べ棒45バーツ重量分(約683グラム)を、住職が個人で集めていた2バーツ(約30グラム)と合算し、計47バーツ(約710グラム)の金で仏像の頭部を鋳造する目的で寺に寄進した。タイの寺院では大型仏像を村の信徒で共同寄進する伝統があり、家族・住職・地域の名前が記録され、仏像とともに長期保存される。47バーツは現在の金相場(1バーツ重量=約65,000バーツ価格)で換算すると約305万バーツ(約1,370万円)に相当する規模だ。
8年が経過した今年、信徒の家族は「あの仏像頭部は本当に金なのか」と疑問を持ち、住職と相談して市内の金店ナモに検査を依頼した。プロ用機器で測定した結果、合金中の金分は2〜3%にとどまり、99%以上は黄銅(亜鉛+銅の合金)だった。メッキすら厚みが極薄で、店主は「溶かせばほぼ何も残らない」と評したという。この検査の様子は店のFacebookとTikTokで公開され、タイ社会で大きな波紋を広げている。
ナモ店主は最近、別の番組「โหนกระแส(コーン・クラセン)」で、「金延べ棒のコピー」「黄銅+亜鉛の偽金製品」「合成ダイヤを白金に偽装」などの偽物検査を実演しており、タイの宝飾品業界で偽物が広く流通している実態を可視化してきた。今回の仏像頭部もこの流れの中で再検査され、タイの宗教寄進が同様の手口で「すり替え」の被害を受けていた可能性が浮上した。
住職側は「寄進金を信徒に説明する責任がある」として警察への告発を準備中で、寄進から鋳造工程までを請け負った業者・職人の特定を急いでいる。在タイ日本人にとっても、寺院への寄進・お守り購入・タイ式宝飾品売買の場面で「100%金」と説明されたものが実は数%であるリスクは無視できない。タイで金製品を扱う際は、刻印・重量・鑑定書・第三者の機器検査の4点で確認するのが事故防止の基本となる。