バンコクで観光客が遭遇しやすいタクシートラブルの代表が「メーター切り(メーター拒否)」だ。タクシーに乗ったあとに運転手がメーターを動かさず、口頭で高額な料金を請求してくる手口で、空港送迎・繁華街エリア・夜間の便で特に多発している。乗客がタイ語に不慣れな日本人観光客の場合、メーター400バーツ程度の距離を1,000〜1,500バーツで請求されるケースもある。タイの「ระบบมิเตอร์(メーター制)」は観光客保護のための公定料金システムで、本来は拒否されてはならない。
最も基本となる対処法は乗車前の事前確認だ。タクシーが停まったら、運転席の窓越しに「メーター・プリーズ(Meter please)」または「เปิดมิเตอร์(プードミトゥー)」とタイ語で確認する。運転手が頷いてもメーターを動かさない場合や、「メーター壊れている」と言い訳をした場合は即座に降車するのが鉄則だ。料金を交渉してから乗ると、後から「思ったより遠い」という追加要求が発生するため、必ずメーター制で乗車する。
タクシーで実際にメーター拒否されてもう動き出していた場合は、最初のミーティング(赤信号や渋滞)で「停めてください(ジョートトゥロンニー/จอดตรงนี้)」と告げて即降車する。引き止められたとしても無理に従う必要はなく、運賃も支払わなくて構わない(メーター制を拒否した時点で運転手側の違反)。降車時にナンバープレート(青地白文字)を写真撮影しておくと、後で観光警察に通報する際に証拠となる。
最も簡単な解決策は配車アプリ「Grab(グラブ)」「Bolt(ボルト)」「LineMan」などの活用だ。これらは事前に料金が確定し、ドライバー名・ナンバー・移動経路がアプリ内に記録される。料金交渉の余地がないため、メーター切り問題そのものが起きない。クレジットカード払い・電子マネー払いに対応しており、現金不足のリスクもない。バンコクのGrab料金はタクシーメーターよりやや高めだが、500メートル〜10キロ程度の市内移動なら100〜200バーツ程度で済むことが多い。
ぼったくり被害に遭った場合の最終手段は観光警察への通報だ。タイ全土で「ツーリストポリス(観光警察)」のホットライン1155番が24時間タイ語・英語・日本語(部分的)対応している。在バンコクの場合、サイアム駅近くやアソークBTS駅近くのツーリストポリス・オフィスでも英語で相談できる。在タイ日本国大使館(ワッタナ区)も領事サービスとして観光トラブル相談を受け付けており、緊急時は02-207-8500番。タクシーのメーター不正使用は最大罰金2,000バーツの行政罰対象で、運転手の免許停止につながる可能性もあるため、被害を受けた場合は遠慮なく通報するのが正解だ。