タイ移民局スラタニ支部が2026年4月29日、サムイ島の高級ヴィラに潜伏していたイスラエル人犯罪組織「アヴェンジャーズ」(Avengers)の28歳の幹部マタン・アルヴィフ容疑者を逮捕した。男はイスラエル本国で殺人、爆発装置の製造・配送、爆破、脅迫、武装強盗、未成年者関連の薬物犯罪などで指名手配されており、追及から逃れるためタイに渡って高級ヴィラに居を構えていた。
容疑者の前科は深刻で、イスラエル本国で窃盗、詐欺、違法武器所持、薬物密輸など多数の刑期を服役した記録があり、釈放後も新たな罪状で起訴される過程でタイへ高跳びしたとみられる。アヴェンジャーズはイスラエルを拠点とする犯罪シンジケートで、爆破・恐喝・武装強盗・薬物密輸を組み合わせて活動する組織として知られる。マタン氏は同組織の中核幹部の一人と位置づけられている。
サムイ島は数年前からイスラエル系犯罪者の潜伏地となっており、タイ警察と移民局はここ1〜2年で繰り返し外国人マフィアの摘発を行ってきた。2026年1月にもサムイ島で別のイスラエル人ギャングが摘発され、2025年からの累計で外国人犯罪者を狙った合同捜査の検挙数は620件に達している(うち別荘関連18件、ビザ取消7件)。在タイ日本人にとってもサムイ・パンガン・タオの島嶼部に外国人マフィアが根を張っている事実は治安情報として無視できない。
なぜサムイ島が「狙われる」かというと、観光客の人種・国籍が多様でイスラエル人が紛れ込んでも目立ちにくいこと、現金経済が回りやすく身元を隠しやすいこと、高級ヴィラを長期賃貸して短時間で住所を切り替えやすいこと、そして島の中で同胞ネットワークが完結することが背景にある。タイの観光警察と移民局は最近、サムイ・パンガン地域の高級ヴィラに対する短期賃貸の身元確認を厳格化する方針を打ち出している。
タイ-イスラエル両国は犯罪人引渡条約を結んでおらず、容疑者の最終処分はタイ国内での不法滞在罪とイスラエル側の引渡し交渉に依存する。マタン氏は当面タイの入管施設で勾留され、その後イスラエル外務省と司法省を通じた身柄移送協議が進む見通しだ。同様の事件が続けば、サムイ島の観光イメージにも影響が出かねないとして、地元観光業界からも警察の徹底取り締まりを求める声が強まっている。