タイ・チェンマイ県のラタナコーシン橋下のピン川河原で2026年4月29日、51歳のホームレス男性が首を刃物で深く切り裂かれた後、焼却された死体で発見される事件が起きた。救助隊が「橋下で火災発生」との通報を受けて現場に駆けつけたところ、火を消し止めた後に焦げた遺体を確認した。
被害者はブンユルアング・スリ氏(51歳)で、メーホンソン県メーサーリエン郡出身のスクラップ集めの男性。数ヶ月にわたり橋下を寝床にして生活していた。死因の中心は鋭利な刃物による首部への深い切創で、致命傷となった後に火を放たれた形跡が確認されている。腹部にも刺し傷があり、過去にカッターによる古傷も見つかっている。
現場周辺からは果物用ナイフ、複数のライター、被害者の個人持ち物が押収された。警察は刃物による殺害行為の後、放火することで証拠と身元を消そうとした「殺人と証拠隠滅」のセットと判断しており、容疑者特定に向けた捜査を進めている。遺体は司法解剖のためマハーラート・ナコンチェンマイ病院へ運ばれた。
タイの都市部にある河川の下や橋下では、住居を持たない人が長期にわたって寝泊まりする例が散見される。屋外で他者の介入が限定的になる場所が、ホームレス層にとって暴力被害のリスクを抱えやすい構造になっている。今回も孤立した人を狙った犯行の可能性は否定できず、地元コミュニティに不安が広がっている。
警察は周辺の防犯カメラ映像、被害者と接触のあった人物、最近のトラブルなど、複数のルートから捜査を進める方針。橋下での生活は他者との接触が限られる一方、争いごとに発展した場合に介入する人がいないため、極めて脆弱な立場だ。今回の事件は、タイの社会的弱者が直面する暴力リスクを改めて浮き彫りにする結果となった。