タイ東北部スリン県シーカラプーム郡ノンレック区サイ村第11村で、2026年4月28日午後5時半に夏嵐が直撃し、田んぼの木に縛られていたメス牛1頭が落雷で即死した。牛の所有者である66歳のターニー・ダーシップ氏は、ちょうど牛を牛舎へ引き戻すために田畑へ歩いている途中で、現場に到着する寸前で雷の直撃を逃れた。
事件が起きたサイ村第11村では、午後5時半ごろから複数の地区を夏嵐(雷雨)が襲い、激しい雷鳴が地響きのように響いた。村のはずれの田んぼに、ターニー氏が普段から繋いでいる「トラベック」と呼ばれるサルスベリ科の樹に、メスの牛が1頭縛られていた。雷はこの樹に直撃し、樹幹には焼け焦げた跡が残った。樹に縛られていた牛は体が硬直したまま即死で発見された。
ターニー氏本人は、嵐の最中に牛舎へ牛を戻そうと田んぼへ向かっている最中だった。突然の豪雨と耳をつんざく雷鳴に驚いて、その場で地面に伏せて身を低くしたという。雨が小降りになったあと、急いで牛のもとに行くと、すでに死んでいる牛と落雷の痕がある樹を目にして言葉を失った。あと少し早く到着していれば、自分も巻き込まれていた可能性が高い。
集まった近隣住民は、現場の樹と牛を取り囲み、衝撃の表情で見守った。サイ村の周辺は田植えの準備期に入っており、住民の間では「雷で田畑にいた自分が打たれたら」と恐れる声が広がっている。スリン県含むタイ東北部は、4月から5月の夏嵐の時期に雷被害が散発する地域でもある。
ターニー氏は「ちゃんと世話してきた牛を一瞬で失った。家族で大事に育ててきたものなので、関係機関に救済をお願いしたい」と語った。タイの田園地帯では、農家にとって牛は労働力であり、貴重な資産でもある。日本人の感覚では「田んぼで牛が雷で死ぬ」場面はあまり想像できないが、タイ東北部の田園風景では夏嵐の時期に住民・家畜双方の落雷リスクが現実的な脅威として残り続けている。