(関連記事:ランパーンで元コミュニティ会長が記者を射殺、女性記者と妹を斬撃しバイクで逃走)
ランパーン県ムアン郡チョンプー地区で4月26日、自宅の寝室入口に立っていた54歳の地元記者男性チャイユット氏(姓非公開)を射殺し、妻と義妹に刃物で重傷を負わせた元コミュニティ会長アヌソーン氏(63、姓非公開)が、4月27日午前9時30分にケラーンナコン警察署へ自首した。動機は駐車場のトラブルと判明。容疑者の身柄はケラーンナコン市長パイトゥーン・ポートーン氏が伴って引き渡された。
警察署長パッタイサート・トリャムプライ大佐が出頭を受理し、容疑者は犯行の様子を供述した。射殺はショットガン1発、左胸を撃ち抜いて心臓を貫通し背中から抜けたとされる。妻パナットダー氏(56)と義妹は、容疑者が続けて刃物で切りつけたために重傷を負った。動機は、容疑者の家の入口を塞ぐ形で車が止められていたことが発端の駐車トラブル。
事件発生から自首まで約26時間。逮捕直後の段階で警察は容疑者の身元と顔写真を割り出して追跡網を敷いていたが、出頭は本人と市長の同行による形となった。市長を伴った身柄引き渡しは、報復・私刑のリスクを念頭に身柄の安全を確保する狙いもあったとみられる。警察は今後、容疑者を連れて現場検証を実施し、刑事手続きに進める方針だ。
タイの地方では、コミュニティ会長(プラタン・チュムチョン)が住民間紛争の調整役を担ってきた歴史がある。その立場の人物が銃を手に取り、隣家の記者一家を襲ったことが受けた衝撃は大きい。地元メディアの周辺取材では、容疑者は以前から駐車場の件で住民から注意を受けていたとの証言もあり、平時から燻っていた小さな対立が、銃と刃物に至るまでエスカレートした構図がうかがえる。
ランパーンは古都「ケラーンナコン」とも呼ばれ、観光地としては馬車の街として穏やかなイメージが強い。地元記者と兼業ホテル従事者の死は、地域社会全体への波紋として広がっており、SNS上では追悼の声に加え、地縁的な紛争解決の限界をめぐる議論も並行して交わされている。今回の自首で4時間以上も逃走していた懸念は解消したが、刑事責任の追及と背景の対立構造の解明は、これから本格化する。

