アユタヤ県ラートブアルアン郡で4月25日に起きた大型バイク男のヤーバー乱射事件で、撃たれて死亡した44歳の女性が小学校教師で正規採用4年目だったことが、4月26日に妹のコメントで分かった。射殺の瞬間に車内にいた娘が母の妹に「ママが撃たれた」と電話してきた経緯も明らかになり、続報を求める声が広がっている。先に書いた35歳男がヤーバー服用後の10発以上乱射事件に対する家族側の最新証言となる。
事件は4月25日、アユタヤ県ラートブアルアン郡プラヤーバンルー副区の運河沿い道路で発生した。容疑者は35歳のサラウット(姓非公開)。本人が大型バイクを単独で転倒させた直後、薬物による錯乱状態のまま拳銃を抜き、走行中の車と歩行者に向け乱射した。死亡したのは女性教師1人、負傷者1人、損壊車両7台、現場からヤーバー錠剤3粒が押収されている。
妹の告白によると、姉は事件発生から数年前に教員資格を取り、ようやく正規採用されたばかりで、勤務4年目に入ったところだった。事件当日、姉は娘を車に乗せて道路を走っていた最中に銃弾を浴びた。娘は母の倒れる姿を目撃し、すぐに母方の妹に電話で「ママが撃たれた」と伝えた。電話を受けた妹は現場に駆け付ける前に既に最悪の知らせを受けたという。
負傷者の60歳ワルロップさんもこの日コメントを公開した。チャチューンサオ県から家族と結婚式に向かう途中、現場で停車中のトラックを避けるためUターンしようと減速した瞬間、容疑者が車に向かって発砲したという。「何が起きたのか分からないまま体に痛みが走った」と振り返った。
タイ警察はサラウット容疑者について、未遂を含む殺人罪、薬物使用罪、銃器不法所持罪、公衆危害罪など重罰の対象となる複数罪状で起訴する方針を固めた。乱射の動機について、容疑者は薬物による幻覚で「追われている」と感じて発砲したと供述しており、計画的犯行ではなく薬物錯乱による無差別事件と見られている。
タイのヤーバー(覚醒剤メタンフェタミン錠)絡みの乱射事件は近年も繰り返し発生している。2022年10月にはノンブアラムプー県の保育所で元警察官がヤーバー絡みの錯乱で30人以上の子どもを刺殺する大事件が起きた。今回のように薬物使用者が大型バイクを乗り回し、転倒の動揺と幻覚で銃を抜いて周囲に乱射する、というパターンも少なくない。
今回の被害者が教師で正規採用4年目だったという事実は、SNSで「ようやく安定した職に就いたばかりだったのに」との反応を広げている。タイの教員は地方自治体の試験を経て正規採用されると恩給や手当が付き、地方の中堅職として尊敬される立場となる。家族や教育委員会は、被害者の名誉を守る形で容疑者の重罰を望むコメントを出している。