タイ警察と関税局は4月25日、現金・金地金・大麻のフラワー(花穂)を国境を越えて密輸する組織への取締を強化したと発表した。再犯防止策として外国人86人を入国ブラックリストに登録、再入国時に水際で阻止する体制を敷く。タイ警察庁副長官のニランドーン・ルームスリ警察大将が共同会見で明らかにした。
タイの大麻政策は2022年6月の事実上の合法化(医療・産業用に限定する建前)から、2025年以降は花穂を中心に再規制が進む方向にあり、外国人観光客が「合法だから」とタイで仕入れた大麻フラワーを母国に持ち出す事案が空港・国境で頻発してきた。英国・ドイツ・オーストラリア向けの郵便密輸が特に多く、現地税関での押収量も急増している。
並行して金・現金の越境流出も問題視されてきた。タイ国内の金小売市場は東南アジア最大級で、相対的にスポットレートが安い時期にバンコクで仕入れて陸路で隣国に運び出すルートが指摘される。現金の場合は越境申告閾値(2万ドル相当)を超える持ち出しを偽装する例が代表的で、コールセンター詐欺やオンライン賭博の収益洗浄と接続するケースも散見される。
今回ブラックリスト掲載となった86人の国籍内訳は警察側が明らかにしていないが、過去の摘発傾向から欧米・東南アジア・南アジアにわたると想定される。タイは観光ビザ免除制度の対象国を順次拡大してきたため、再入国の自由度は高い。ブラックリスト登録は入国ビザ・無査証ともに無効化する効果があり、繰り返し犯への抑止としては実効性のある手段となる。
警察と関税局は2024年以降、空港・港湾・陸路国境(タイ・カンボジア、タイ・ミャンマー、タイ・ラオス)で共同タスクフォースを編成し、CCTV・X線・税関データベースを統合運用している。プーケット、サムイ島、メーソート、サダオ、ノンカイの五拠点が摘発のホットスポットだ。
在タイ日本人が大麻フラワーや高額金製品を意図せず持ち出すケースも相次いでおり、タイ出国時の手荷物検査では未開封のテラス販売品でも没収対象となる。85g以上の大麻所持はタイ国内でも違法行為となるため、購入の際は店舗のライセンス確認、出国手荷物への混入回避が必要だ。