バンコクのノンケーム地区で4月23日未明、配車アプリ「Bolt」で手配したバイクタクシーの運転手が目的地を過ぎても停止しなかったため、17歳の女子高校生が走行中のバイクから飛び降りて逃げる事態が発生した。運転手は22歳の男で、クラトム(ミトラガイナ葉)と大麻の使用を認めており、警察は違法拘禁罪を含む複数の容疑で立件を進めている。
事件の現場はバンコク・ノンケーム地区のペッカーセム81号通りの交差点付近。発生時刻は2026年4月23日午前1時頃の深夜帯。被害者はラマ2地区から自宅のバンヨン地区までの移動をBoltアプリで予約した女子高校生だった。
搭乗時、実際に来たバイクはアプリに表示された車両と異なっていたが、深夜の状況で被害者はそのまま乗車。途中、運転手がクラトム飲料を購入する動きを見せたことから、女子生徒は不安を覚えスマートフォンで運転手の姿を録画し始めた。
ところが、運転手は目的地を過ぎても停止せず、被害者が降車を指示しても加速を続けた。抵抗する女子生徒のスマートフォンを手で叩き落とそうとする行為もあったとされる。追い詰められた被害者は走行中のバイクから飛び降り、交差点で転倒して負傷。近くを走っていた別のバイク利用者や自動車ドライバーが停車して救助し、救急車が呼ばれた。
運転手は現場から逃走したが、警察が目撃者のドライブレコーダー映像やBoltアプリの履歴を元に身元を特定。逮捕されたのはティン・チャオクロン容疑者(22歳)。使用していた赤いホンダ・ウェーブのバイクは押収された。調べによると、同容疑者は父親のBoltドライバーアカウントを使って営業しており、規約違反にあたる。また、クラトムと大麻の使用も本人が認めた。
容疑者は調べに対して「女子生徒が目的地を誤って設定した」「後続車が多く停止できなかった」と弁解しているが、走行中の飛び降り被害と電話の押さえつけ行為はこれらの主張では説明できない。GPS使用有無への回答は拒否している。
タイの刑法第310条では「違法拘禁罪」として懲役最大3年、罰金最大60,000バーツ、またはその両方が科される。さらに自家用車両を公共運輸として営業する行為は陸上運輸法第21条違反で、罰金最大2,000バーツと免許停止の可能性がある。検察は両罪を併合して起訴する構えだ。
配車アプリのBolt・Grab・LINE MAN等は、タイ生活・観光の定番ツールとなっているが、本事件のようなドライバー側の規約違反や犯罪行為は年に数件報告されている。防衛策としては、乗車前にアプリ表示のナンバー・顔写真と実際の車両が一致するか確認する、走行中は家族や友人とライブロケーションを共有する、異常を感じたら早めに大通りで降車するなどが現実的。夜間単独乗車は特にリスクが高まる点に留意が必要だ。
在タイ日本人・旅行者にとってもBoltやGrabの利用頻度は高く、今回の事案は対岸の話ではない。アプリ運営会社の審査・モニタリング体制の強化と、利用者側の自己防衛意識の両方が必要な状況となっている。