タイ北部チェンマイで6月12日、アイスクリームを売り歩いていたミャンマー人の女性が逮捕された。容疑は、許可された範囲を超えて働いたこと。彼女は単純労働者としての就労許可を持っていたが、路上での物売りは、外国人が就くことを固く禁じられた職業だったためだ。タイには、外国人が原則として就けない仕事がいくつも定められている。
チェンマイでアイス売りの女性を逮捕
逮捕の現場は、チェンマイ県ファーン郡だった。入国管理局と県の雇用事務所が、外国人の不法就労があるとの情報を受けて地域を巡回し、サイドカー付きのバイクでアイスクリームを売っていたミャンマー人女性を見つけた。 調べによると、女性はタイに一時的に滞在する許可と、単純労働者としての就労許可証を持っていた。しかし、許可されていた仕事は労働作業であって、路上での物売りではない。本人は、アイス売りをおよそ2か月続け、1日あたり400〜500バーツ(約2,000〜2,400円)ほどを稼いでいたと認めた。当局は、行商によるアイス販売は外国人が絶対に行えない仕事だと判断し、女性を警察に引き渡して立件する方針だ。
タイで外国人が就けない仕事
タイには、労働省の告示によって、外国人の就労を禁じた職業がいくつも定められている。かつて39職種として知られたこのリストには、今も多くの仕事が含まれている。 たとえば、路上での行商や物売り、理容・美容、タイ古式マッサージ、運転手、一部の販売業などだ。タイの伝統工芸にあたる仏像づくりや伝統楽器の製作なども、外国人には認められていない。重要なのは、たとえ正規の就労許可証を持っていても、許可された職種以外の仕事はできないという点だ。今回の女性のように、労働者としての許可で入っていても、行商をすれば違反になる。 こうした制限は、タイ人の雇用を守り、伝統文化を受け継いでいく目的で設けられている。
違反の罰則と、知っておきたいこと
外国人が禁止された職業に就いた場合の罰則は重い。法律では、最大5年の懲役、または10万バーツ(約49万円)以下の罰金、もしくはその両方が科され、加えて国外退去となる可能性がある。働かせた雇用主の側にも罰則がある。 タイには、ミャンマーやカンボジア、ラオスといった近隣国から、多くの労働者が働きに来ている。建設や工場、農業など、認められた分野で働くぶんには問題ないが、収入を増やそうと別の仕事に手を出すと、思わぬ形で法に触れてしまう。就労許可証に書かれた仕事の範囲を正しく理解しておくことが、外国人労働者にとっても、人を雇う側にとっても欠かせない。
近年、タイ当局は外国人の不法就労に対する取り締まりを強めており、今回のような巡回での摘発が各地で行われている。母国よりも高い収入を求めてタイで働く人は多く、その存在はタイ経済を下支えしてもいる。それだけに、認められた範囲を超えた働き方が、せっかく築いた仕事や生活そのものを失わせてしまうのは、本人にとっても惜しい。人を雇う側も含め、制度を正しく知っておく意味は小さくない。


