カオヤイ国立公園の外縁部で2026年4月23日、雄のガウル(อีแลน・野牛の一種)が密猟者が仕掛けたワイヤー罠に頸部を絞られ、獣医チームが救助を試みたが間に合わずに死亡した。タイの象徴的な野生生物が犠牲になった出来事として、SNSで大きな悲しみが広がった。
発見から死亡まで
4月23日午前、ナコンラーチャシーマー県パークチョン郡ポンタローン地区の村長から「大きな野牛がワイヤー罠にかかっている」という通報が届いた。場所はカオヤイ国立公園の境界から約300メートル外の地域森林に近接する農地と林の境界付近だった。
獣医チームと公園レンジャーが急行すると、雄ガウルが首にワイヤーを深く食い込ませた状態で木の根元に立ち往生していた。激しく引っ張った跡があり、ワイヤーは肉に食い込んで骨まで達している状態だった。
麻酔で動きを止め、ワイヤーの切断を試みたが、ガウルは長時間にわたる激しい抵抗と酸素不足で身体が弱り切っており、処置の途中で息を引き取った。
ガウルという動物
ガウルはウシ科の大型野生牛で、体重は700〜1,000kgに達する。タイではカオヤイやドーイインタノン、ファイカエンなどの国立公園に生息しており、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで「易危(Vulnerable)」に分類されている。
タイ全土のガウル推定個体数は1,000〜1,500頭とされており、生息地の分断と密猟圧により個体数は長期的に減少傾向にある。
ワイヤー罠問題
今回使用されたワイヤー罠(สลิง)はイノシシや鹿などを対象とした密猟用の仕掛けで、野生の獣道に設置される。罠は動物の種類を選ばないため、ガウルのような保護動物が意図せず犠牲になることが多い。
タイでは野生生物保護法で罠猟は原則禁止されているが、山村部での設置は跡を絶たない。公園当局は毎年数百〜数千個の罠を回収しているが、広大な山林全域の監視は困難だ。
