タイのエクニット・ニティタンプラパス財務相は22日、付加価値税(VAT)を現行の7%のまま1年延長する措置を正式に公表した。前日に上院経済・金融・財政政策委員会が示した「3年で7%から10%への段階的引き上げ案」に対する政府としての明確な回答で、俳優チュン・アーチェンがXで「日本並みの福祉なら賛成」と投げかけたSNS論争にも一定の結論が出た形だ。
タイのVATは2025年9月の内閣決定で2026年9月30日まで7%とされていた。今回の延長で、適用期間はさらに1年、おおむね2027年9月末まで伸びる方向になる。毎年の勅令で7%運用を更新してきたタイ政府の慣例は、今回の決定でもしっかり維持された格好だ。
エクニット財務相は以前から、中長期の財政改革として「2030年までに法律上の税率である10%へ戻す」シナリオを示している。今回の延長はあくまで景気回復までの時間稼ぎという位置付けであって、10%への移行そのものを完全に棚上げしたわけではない。
アヌティン首相率いる政府与党プーミー・タイ党は、コロナ後の景気の弱さ、物価高、イラン戦争起因のエネルギー価格上昇など複数の打撃が重なっている現状で、国民に新たな税負担を求める段階ではないという姿勢を繰り返している。シリポン副党首も「2〜3年以内に引き上げる計画はない」と明言していた。
上院の案は、税収を年間2,000億〜3,000億バーツ押し上げ、うち3%分を高齢者貯蓄スキームに振り向けて月額手当を3,000バーツ規模に引き上げるという野心的な中身だった。社会福祉の底上げとセットで議論するこの道筋はしばらく温存される形になるが、2027年9月の延長期限を前に再燃する可能性は十分にある。
タイ在住の日本人にとっては、スーパーのレシートや電気代、レストラン会計に乗る7%の内訳がもう1年は変わらないことを意味する。日本の消費税10%と比較して「安い」と感じる価格設定の感覚は、少なくとも2026年度中は維持される見通しだ。