タイ社会保険事務局(SSO)は22日、5月1日から親知らず(フンクット)の抜歯や外科的処置を全国のどのクリニックでも受けられるようにする方針を発表した。これまでは契約クリニックでしか無料処置を受けられず、契約外を選ぶと全額自費だったが、今回の改正で「契約外でも一度支払って後から還付」という立替えスタイルが正式に整う。
タイで就労する日本人駐在員の多くは社会保険(第33条加入者)として毎月の保険料を差し引かれている。SSOの歯科枠は年間900バーツで、歯石除去、虫歯の詰め物、抜歯、親知らず処置が対象となる従来どおりの制度だ。1年ごとに枠がリセットされ、翌年に繰り越せない点はこれまでと同じである。
これまで契約クリニックに行けば、窓口で身分証を提示するだけで無料(900バーツ枠内)で処置を受けられたが、契約外クリニックを選ぶ場合は全額自費で払った後、領収書と医師の診断書をSSOに提出して還付を申請する必要があった。手続きの面倒さから「契約外は選べない」状態が事実上続いていた。
5月1日からは、契約外クリニックでも親知らず処置そのものを正式にカバーする制度が明文化される。利用者は希望するクリニックで処置を受け、領収書をオンラインまたは社会保険事務所窓口に提出すれば、900バーツの枠内で費用が口座に戻る仕組みだ。
親知らずの抜歯や外科的埋伏歯処置はクリニックによって費用差が大きく、自費で2,000〜8,000バーツかかるケースが珍しくない。900バーツでは全額をカバーできないものの、「とりあえず行き慣れたかかりつけ医で処置し、一部を取り戻す」選択肢ができたことは意味が大きい。
外国人の加入者も同等に対象となる。労働許可を持ちSSOに3ヶ月以上保険料を納めている人は、タイ人加入者と同じ条件で歯科枠を利用できる。現地採用で働く日本人のなかには給与から毎月750バーツ前後が引かれ、制度自体の存在を意識せずに過ごしている人も少なくないが、歯科枠は最も使い勝手のよい給付の一つと言える。
5月からの改正にあたりSSOは、公式ウェブサイトとアプリで契約状況や還付方法を公開する予定だ。歯医者を選ぶ前に自分の加入区分(第33条、第39条など)と利用可能枠を確認し、処置後は領収書と医師からのサマリーを確実に受け取っておくのが手続きをスムーズに進めるコツになる。