タイ運輸省のピパット副首相が、バンコク地下鉄・BTSスカイトレインの運営権(コンセッション)を1.4兆バーツ(約6300億円)で買い戻し、政府が直接運営する大型政策を閣議に提出する方針を固めた。狙いは1日乗り放題40バーツの定額運賃を2027年1月1日から実現することである。在バンコク日本人の日常の交通費に直結する大型改革となる。
対象となるのはBTS Group Holdings(BTSスカイトレイン運営)とBangkok Expressway and Metro(BEM、地下鉄ブルーラインとタオ・プーン〜クロンバン間のパープルラインを運営)の2事業者である。現在、両社はそれぞれ別々の運賃体系で営業しており、乗り換えのたびに初乗り料金が二重発生する問題があった。
運輸省は「Single Ownership(単一所有)」方式による買戻しを両社と水面下で打診しており、両社とも売却そのものには反対していないと報じられている。残る焦点は買取価格で、2026年5月から正式な交渉が始まる。1.4兆バーツは運輸省による資産評価とO&M契約の合算値で、実際の買取額はこの水準を基準に交渉される見通しだ。
新運賃体系は「1日40バーツ上限」のタイムゾーン制である。乗車から40分以内は40バーツ、40分を超えると追加で20バーツが加算され、1日の上限は60バーツに設定される。これを採用すれば、現在ソイ23〜モーチット間を乗るだけで70バーツ超かかるBTSの初乗りシステムと比べ、在住者の定期利用コストは大幅に下がる。
先に報じたバンコク共通切符が2027年運用開始、初乗り料金二重払いが解消見込みと整合する政策で、共通切符化と政府運営化の両方が2027年1月に走り出す形となる。プラトゥーナム陸橋閉鎖を伴うMRTオレンジ線工事も同じ時間軸の中にあり、バンコクの公共交通網は27年を境に大きく姿を変える。
政府直接運営は税金投入のリスクも伴う。1.4兆バーツは単年度予算ではなく、複数年にわたる買戻し費用となる見込みで、同時に2027年度予算3.78兆バーツの枠内で財源調整が必要になる。BTS・BEMとも上場企業であり、買戻し交渉のニュースは株価にも強く反応する。在住者の生活費直結の視点では、1日40バーツ定額が実現すれば月5〜7千バーツの交通費節約が見込める家庭も出てくる。