タック県メーソートの税関検問所で4月21日、22輪の大型タンクローリーが検挙され、軽油16,000リットルが押収された。総額70万バーツ超に相当し、ミャンマー側への密輸目的と見られている。燃料価格が高止まりする中で、補助金付きタイ国内ディーゼルを国境越しに転売する動きが顕在化している。
押収場所はメーソート自然境界付近で、ミャンマーのミャワディー対岸に位置する。タンクローリーは積み荷の通関手続きを経ず国境方向に走行しており、税関職員が不審車両として検査、軽油の密輸を確認した。ドライバーの身柄と車両は税関当局が押さえており、積み荷の売却先・指令系統の捜査が続く。
同じ国境エリアでは4月13日、ター・ソンヤン郡の治安当局が密輸グループ3人を逮捕し、軽油約2,800リットルを押収している。メー・タン区からモエイ川沿いの森林プランテーション経由でミャンマー側に流す予定だった。2週間足らずで連続摘発が続いており、地域全体として密輸ルートの組織的な運用が示唆される。
背景には、タイの石油燃料基金によるディーゼル価格補助がある。先に報じた4月21日のディーゼル1.20バーツ値下げで41.70バーツのように、政府が補助金で小売価格を抑えている一方、ミャンマー側では補助なしの輸入価格で流通するため、国境を越えるだけで数バーツから十バーツ単位の価格差が生まれる。補助金目当ての密輸は、タイ納税者の負担で他国消費者を利する逆行構図となる。
既存事件との連続性も見える。先にスラート・タニーの石油備蓄倉庫で2月210万L→3月40万Lへ販売が80%激減した件や、トラート沖で鶏肉偽装の密輸船が沈没した件など、燃料・食品の国境密輸は近年急増しており、摘発が追いかける構図が続く。
在住者にとっては他人事ではない。補助金が密輸で他国に流出すれば、その穴埋めは結局のところ国内の税金・電気代・VATで補われる構造である。4月21日の1.20バーツ値下げのような局所的な朗報の裏で、基金の赤字圧力は密輸摘発の結果次第で大きく左右される。