タイ下院議会で、国境の緊張関係を正面から問う場面が近づいている。4月22日と23日に招集された下院本会議で、野党の人民党(プラチャチョン党)ローム議員がアヌティン・チャンウィーラクン首相に対し、ワ州連合軍(UWSA)がタイ領内に基地を設置した問題を質問する予定である。麻薬の流入増加への懸念が背景にある。
Khaosodによると、下院議長ソーポーン・サラム氏が4月22日から23日の本会議日程を確定した。23日の議題は生質問(กระทู้ถามสด)、一般質問、個別質問で構成される。第27期議会(新政権発足後)の第1年度第1会期で、初めて行政府への質問会が設定された重要なタイミングである。
焦点の質問はロームラッ・ラッタナシン議員(通称ロム、人民党)によるものである。ワ州連合軍の部隊がタイ・ミャンマー国境のタイ側の一部に基地を築いたと報じられ、地元住民と国防関係者の間で警戒が広がった経緯がある。議員は「首相が国境の主権問題と麻薬流入の両面でどう対処するのか」を問う姿勢だ。
ワ州連合軍はミャンマー東部のシャン州北部を実効支配する武装勢力である。覚醒剤(アイス)とヤーバー錠剤の製造拠点として国際社会から長年指摘されてきた。タイ国境沿いに影響圏を広げており、タイ陸軍も国境警備と摘発作戦を繰り返してきた。
首相への一般質問は3つ用意されている。ロムのワ州軍基地問題のほかに、バンプラット区の病院建設がタイ仏教庁の規則で進まない問題(テップピポップ・リムジットクラー議員)などが並ぶ。個別省大臣への質問も多岐に及ぶ。
タイの国境情勢は中東・ウクライナのような遠い紛争と違って、国内経済と治安に直接影響する問題である。メーサイ国境の覚醒剤92kg押収(4/19)のような事件も、ワ州連合軍の流通網と無縁ではないと捜査当局は見ている。
野党は新政権の発足以降、「国境の主権をどう守るか」を一貫して追及してきた。今回の質問は外交・国防・治安の総合的な対応を問う形で、首相の答弁次第では新政権の対応力が試されることになる。
在タイ日本人にとっても、国境情勢とタイ国内の治安は直結する問題である。4月23日の国会質問会の答弁内容が、今後のタイ北部国境域の安定性を示す指標となる可能性が高い。