タイで、家庭教師として雇われていた68歳のカナダ人男性が、教え子である15歳少女への性的暴行の容疑で逮捕された。男はいったん身柄を拘束されたあと保釈されていたが、捜査が続くなかで資産を売却し、別の県へ移り住んでいたという。人身取引対策を担う部署が足取りを追い、6月1日までにプラチュアップキーリーカン県で逮捕した。
3年間続いた家庭教師という関係
逮捕されたのは、カナダ国籍のジェームズ・インクスター容疑者(68)。カオヤイ近くのインターナショナルスクールで副校長を務めた経歴があり、数学の個人教師もしていたとされる。警察によると、問題とされる行為があったのは2025年10月、ナコンラチャシマ県パクチョン郡でのことだ。容疑者は少女の自宅で週2回、3年間にわたって家庭教師を続けており、家庭に入り込んだ信頼関係のなかで事件が起きたとみられている。被害者が15歳であることから、当局は身元が特定されないよう情報の取り扱いに配慮している。
保釈後の資産売却と県またぎの移動
容疑者は事件の発覚後に一度身柄を拘束されたものの、その後保釈されていた。ところが捜査が続くなか、金などの資産を売却し、内陸のナコンラチャシマ県から海沿いのプラチュアップキーリーカン県へと移り住んでいたという。逃亡を疑った警察が県をまたいだ足取りを追い、知人宅に滞在していた容疑者を発見、抵抗を受けることなく逮捕した。逮捕にあたったのは、子どもの搾取に関わる事件も扱う人身取引対策の部署で、証拠として押収した携帯電話の中身なども調べている。被害者が未成年であることから、捜査は慎重に進められている。
教える立場への信頼が悪用された
この事件が深刻なのは、子どもを預ける家庭教師という、本来もっとも信頼されるべき立場が悪用された点にある。タイでは、語学や学習の個人指導に外国人が携わることも多く、家庭に直接出入りするケースも少なくない。外国人が教える仕事に就くには就労許可などが必要だが、過去には経歴を十分に確かめないまま採用された例も指摘されてきた。経歴や評判だけで安心せず、指導はできるだけ人目のある場所で行う、保護者が様子を気にかけるといった心がけが、子どもを守るうえで役に立つ。
問われる司法手続き
タイでは未成年への性的な犯罪は重く罰せられ、有罪が確定すれば長期の実刑となりうる。外国人の場合、刑を終えたあとに国外退去となるのが一般的だ。ただし現時点で容疑者は捜査・訴追の段階にあり、有罪と決まったわけではない。保釈中に資産を処分して別の県へ移っていたとされる経緯から、警察は逃亡の恐れも念頭に手続きを進めるとみられる。被害者とその家族への支援も含め、当局の今後の対応が問われることになる。