スパジー副首相は10日、「365日マハッサチャン・タイランド(365日奇跡のタイ)」と銘打った通年観光戦略について言及し、PM2.5対策と一体で進める必要があるとの認識を示した。同構想は季節ごとの祭事や地域の魅力を年間カレンダーとして整理し、観光客を特定の時期に集中させず通年で分散させることを狙う。
副首相は、北部を中心に深刻化する微小粒子状物質PM2.5の問題が観光誘客の足かせになっていると指摘した。乾季の1〜4月はチェンマイやチェンライなど北部の観光ハイシーズンと重なるが、同時期は山焼きや越境煙害によりPM2.5濃度が危険水準に達する年が続いている。観光振興を掲げながら大気汚染を放置すれば、旅行者の健康被害や風評リスクが避けられないとの認識だ。
PM2.5問題をめぐっては、チェンマイ大学が最近の研究で微小粒子が片頭痛を重症化させると発表しており、健康への影響が科学的にも裏付けられつつある。また国民党が北部の粉じん危機対応を求め、燃料券による焼畑抑止策を提案するなど、政治的な議論も活発化している。
通年観光戦略の実効性を高めるには、大気環境の改善が不可欠となる。雨季や酷暑期に観光客を誘導するだけでなく、乾季の北部でも安心して滞在できる環境を整えなければ、「365日」の看板は絵に描いた餅になりかねない。副首相の発言は、観光政策と環境政策を省庁横断で連動させる意思を示したものといえる。
政府は現在、食品ハブや電力基盤への投資など危機を好機に変える経済戦略を打ち出しており、観光分野でも環境対策との両立が問われる局面に入っている。