ミャンマー国軍のトップ、ミン・アウン・フライン(69)が4月10日、首都ネーピードーで大統領就任の宣誓式に臨んだ。2021年のクーデターから約5年、軍服を脱いで「文民大統領」の肩書を手にした形である。
就任の根拠となったのは、軍政下で実施された総選挙だ。国際社会からは「自由でも公正でもない」と厳しい批判を浴びたが、ミン・アウン・フラインはこの選挙結果をもって正統性を主張している。クーデターで追放されたアウン・サン・スー・チー元国家顧問は依然として拘束下にあり、民主派の参加が制限された選挙だった。
タイのアヌティン首相はミン・アウン・フラインに祝意を伝え、「両国の関係がより強固に発展することを期待する」とのメッセージを送った。宣誓式にはタイのほか中国、インドの代表も出席しており、近隣諸国が軍政移行後のミャンマーとの外交関係維持を選んだ構図が見える。
日本を含む欧米諸国がミャンマー軍政を承認していない中、タイが祝意を送った判断は今後の外交議論の材料になりそうだ。タイとミャンマーは約2,400kmの国境を共有し、ミャンマーからの労働者はタイ経済を支える重要な存在でもある。国境沿いの治安や難民問題を考えれば、隣国の政権移行を完全に無視するわけにもいかないのが実情である。
軍のトップが大統領に就任したことで、ミャンマーの内戦状態がどう変化するかは不透明だ。タイに住む日本人にとっても、国境地帯の安全や在留ミャンマー人コミュニティへの影響など、引き続き注視が必要な動きである。