ロシア系とみられる外国人バイカーが、プーケットでレンタルバイクをオフロード走行で破損させる動画が5月11日にFacebookページ「Phuket Times」で公開され、タイ国内で批判が殺到している。動画にはモトクロス愛好家とみられる男性がレンタル契約のバイクを公道外の悪路に持ち込んで激しく走行する様子が映っており、「観光客が現地のルールを守らない」「レンタル業者に損害を押し付ける」という二重の問題提起となった。プーケットは外国人観光客のマナー問題が連続して発生している地域で、今回の事件はラワイで屋台店主の貯金箱カートを助けたロシア人観光客がSNSで称賛された5月10日のケースと正反対の構図となる。
事件の経緯は次の通り。プーケット市内のレンタル業者から借りたバイクを、外国人男性がオフロード走行に持ち込み、車両の各所を激しく損傷させた。第三者が走行を撮影した動画がSNSに流出し、5月11日にFacebookページ「Phuket Times」が公開。投稿には男性の国籍がロシアと推定される情報、モトクロス経験者である可能性、撮影目的でコンテンツ作成中だった可能性、などが添えられている。
ネット住民の批判は3点に集中した。(1)レンタル契約上、公道走行のみが許可されているはずなのに、オフロードで激しく扱った契約違反。(2)借り物のバイクを意図的に酷使する観光客の倫理問題。(3)「外国人がタイの観光地で勝手放題」というステレオタイプを強化する行為。コメント欄には「彼は弁償するのか?」「レンタル業者は警察に被害届を出すべき」「VISAを永久キャンセルすべき」といった厳しい声が並んだ。
タイのレンタルバイク業界は、外国人観光客のトラブルが構造的問題となっている。プーケット・パタヤ・サムイ・パンガンなど主要観光地では、(A)保証金詐取、(B)事故時の修理費請求、(C)パスポートを担保にした取引、などのトラブルが頻発。観光客側からは「不当な高額請求」「軽微な傷で全額弁償」といった逆クレームもあり、双方の不信が積み重なってきた。
今回の動画は、レンタル業者側の正当性が映像で裏付けられたケースとして注目される。男性が「コンテンツ作成のためにバイクを犠牲にした」可能性が指摘されており、撮影目的の意図的な行為であれば、悪意の存在が立証しやすい。プーケット観光警察はSNS上の情報を元に身元特定を進めるとみられ、本人が出国前であれば追跡可能。プーケットの観光警察は5月10日のスラタニ知事7か月で外国人摘発2,603件・パンガン島イスラエル人1,000件など外国人摘発の体制を整備しており、今回もタイミング次第で対応が早まる可能性がある。
タイ在住の日本人駐在員家族にとっては、レンタルバイクの利用ルールを改めて意識する機会となる。日本人観光客の場合、(1)国際運転免許の不所持で乗ること、(2)契約書を読まずに署名すること、(3)ヘルメット未着用での走行、などの基本ルール違反が問題視されてきた。今回のロシア人とされる事件のような「意図的な車両損傷」は日本人案件ではほぼ存在しないが、軽微な接触事故・スリップ・転倒でも修理費が予想外に高額になるケースは少なくない。レンタル前に車両状態を写真で記録し、契約書の補償範囲を確認することが推奨される。
タイの観光業界は4月の外国人観光客が前年比-7%・パッタヤホテル稼働率が60-70%→30-40%に急落するなど苦境にあり、観光客のマナー問題が広く報じられることは、観光イメージの追加打撃となる。5月11日からのフリービザ60→30日短縮と相まって、「ルールを守らない外国人を入れない」というタイ国民の世論が一段と強くなる文脈で、本件は政治的にも重みを持つ。