タイ政府が東京・代々木公園で2026年5月9日に開幕した「Thai Festival Tokyo 2026」に大型ブースを構え、日本人観光客120万人の訪タイを2026年中に達成する目標を打ち出した。テーマは「Amazing Thailand: Thai Pop Culture Move」。タイ国政府観光庁(TAT)と外務省が「Team Thailand」の名義で連携し、現代タイ文化を全面に押し出した構成だ。
会場は5つの「SOI(路地)」と呼ばれるゾーンで構成される。SOI 1は観光情報ハブと航空会社パートナーゾーン、SOI 2はJUTATIPによるタイ織物・工芸ワークショップ、SOI 3はT-POPと食・アート・ウェルネスのポップカルチャー体験、SOI 4は現代的解釈で再構成されたタイの寺院体験、SOI 5はムエタイ体験とファッション・ストリート文化。メインステージではT-POPアーティストのライブと文化パフォーマンスが連続展開される。
注目したいのはタイ政府の戦略変化だ。これまでのタイ観光プロモーションは「微笑みの国」「世界遺産」「ビーチリゾート」など定番イメージの繰り返しが中心だったが、今回のフェスティバルは明確に「Pop Culture」を前面化した。T-POPの認知拡大を受けて、20-30代の日本人女性層を狙った再ブランディングが進んでいる。
数字の根拠を見ると、120万人という目標はコロナ前の2019年(約177万人)と比較すれば未達水準だが、2024年の約100万人からは2割増のペース。為替面では円安バーツ高が継続しているため、日本人観光客の購買力が低下している逆風下で、訪問者数の絶対数を押し上げる狙いがある。
代々木公園で開催されるThai Festivalは1999年に第1回が開催されて以降、コロナ期間の中断を挟みつつ毎年開催され、3日間で30万人規模の来場者を集める東京最大級のエスニックフェスとして定着している。タイ食材・調味料・本格ガパオやソムタム、トムヤムクンの露店が並び、毎年バンコクの街角を再現したような賑わいになる。
副報道官プロイタライ・ラクサミーセーンチャン氏が政府代表として現地入りした。アヌティン首相自身は同時期にセブのASEAN首脳会議でフン・マネット首相と三者会談に臨んでいたタイミングのため、フェスティバル本体は副報道官と観光庁長官クラスが現地進行を担う形となった。
在タイ日本人にとっては逆向きの動きとして興味深い。日本側に「タイの今」を売り込むタイミングで、タイ国内でもフリービザ滞在期間60→30日への短縮加速が議論されており、外国人観光客の呼び込みと滞在管理の引き締めという二面戦略が同時進行している。