タイ北部で深刻化するPM2.5問題に新たな健康リスクが加わった。チェンマイ大学医学部の研究チームが、微小粒子状物質PM2.5と片頭痛(ミグレーン)の悪化に有意な相関があるとする研究結果を発表した。大気汚染が呼吸器だけでなく神経系にも影響を及ぼすことを示す知見として注目される。
研究によると、PM2.5の数値が高い期間には片頭痛の発作頻度が増加し、痛みの強度も上昇する傾向が確認された。もともと片頭痛の既往がある患者では、生活の質が明確に低下することも示されている。北部では毎年2月から4月にかけて山火事や焼畑の影響でPM2.5が危険水準に達することが常態化しており、影響を受ける住民の数は少なくない。
同大の医師団は、PM2.5の微粒子が呼吸器系やアレルギー疾患だけでなく、神経系にも作用して片頭痛の「トリガー」となりうると説明する。特に既往歴のある人が、睡眠不足やストレス、高温、煙のにおいといった他の誘発因子に同時にさらされると、発作が起きやすくなるという。
医師団は片頭痛持ちの住民に対し、PM2.5が高い時期には症状の変化を注意深く観察するよう呼びかけた。発作の頻度が増えた、持続時間が長くなった、従来の薬で抑えられなくなったといった兆候があれば、早めに医療機関を受診して治療方針を見直すべきだとしている。
北部のPM2.5問題をめぐっては、野党・国民党が政府に対策の強化を求めるなど政治課題にもなっている。在住日本人にとっても、この時期のチェンマイやチェンライへの渡航・滞在時には大気質の確認と屋外活動の制限が欠かせない。