スパジー・タナセートスイン副首相兼商務大臣は4月11日の閣議に、エネルギー危機下での国民負担を軽減する3つの施策を提案する方針を明らかにした。燃料価格の高騰が家計を圧迫するなか、日用品の価格安定と農家支援を同時に進める狙いがある。
柱の一つ目は「トンファー・モバイル」と呼ばれる移動式の政府認定低価格販売車である。固定店舗のブルーフラッグショップ(ร้านธงฟ้า)を補完する形で、都市部だけでなく地方のコミュニティにも生活必需品を届ける。燃料高で買い物のための移動コストが増している市民にとって、自宅近くで安価な商品を購入できる仕組みは即効性のある救済策となる。
二つ目は「ロット・プンプワン」と呼ばれる巡回販売トラックの拡充である。従来から農村部で食料品や日用品を運んできたこの移動販売車を、政府主導で台数と巡回頻度を増やすことで流通の末端を強化する。7品目の価格統制令と組み合わせることで、便乗値上げの監視と生活物資の安定供給を両立させる構えである。
三つ目は「メー・プイ・コンラクルン」と名付けられた肥料の半額補助制度である。政府と農家が肥料代を折半する仕組みで、ホルムズ海峡の混乱で尿素肥料の供給不安が広がるなか、農業コストの急騰を抑え込む目的がある。原油高に連動して化学肥料の原材料価格も上昇しており、農家の経営を直接支える施策として注目される。
スパジー副首相は先に経済・金融の専門家12人を招集した貿易戦略チームを発足させており、今回の生活費対策もその一環に位置づけられる。5月に開始予定の「コンラクルンPlus」(半額補助制度)と合わせ、政府はエネルギー危機の長期化に備えた多層的な家計支援策を急ピッチで整えている。