中東情勢の悪化に伴う原油高が食料品価格にまで波及し、タイ国内の飲食店の9割以上がメニューの値上げに踏み切っている。そうしたなか、ソンクラー県ハートヤイのニパットソンクロー2通り沿いにある「パースコン」食堂が、ぶっかけ飯を1袋10バーツで売り続けていることが地元で話題を呼んでいる。
店を切り盛りするノンタカーン・ルアンシーさんによると、午前中は1袋20バーツで販売し、午前10時半以降は10バーツに引き下げる二段階価格を採用している。値上げをしない代わりに1袋あたりの量をわずかに減らすことで、薄利ながらも経営を維持しているという。
主な客層は日雇い労働者やその日暮らしの人々である。ノンタカーンさんは「限られた予算でもいろいろなおかずを選べるようにしたい」と語り、低所得層が安価に食事できる場を守る意志を示した。
店は昨年の大洪水でも被害を受け、景気回復の遅れとも重なって厳しい経営が続いている。それでも価格を据え置く姿勢は、ディーゼル50バーツ突破で南部の漁業と物流が悲鳴を上げる状況下でひときわ際立つ。
タイ各地では燃料高がソンクラーンの過ごし方にも影響を及ぼし、チャイナート県ではバイクタクシーの大半が営業を停止するなど庶民生活への打撃が深刻化している。物価高に苦しむ人々にとって、10バーツで温かい食事を提供し続けるこの食堂の存在は、小さくも確かな支えとなっている。