チャイナート県の県庁所在地にある市場前のバイクタクシー乗り場で、かつて10台以上が客待ちしていた光景が一変した。燃料価格の高騰により大半の運転手が営業を断念し、現在も稼働しているのはわずか1台だけである。
唯一残った運転手によると、ガソリン代を差し引くと採算が合わなくなり、仲間たちは次々と「休業」に追い込まれたという。売上から燃料費を引けば手元にほとんど残らない状況では、走れば走るほど赤字になりかねない。バイクタクシーという庶民の足が、燃料危機の直撃を受けている格好である。
この運転手自身も生き残りをかけて工夫を凝らしている。燃費を少しでも抑えるためにスピードを落として走行し、運賃も従来から20〜30%引き上げた。5キロメートルまでの近距離で従来20〜30バーツだった料金は、現在30〜40バーツとなっている。値上げの際は乗車前に必ず新料金を伝え、乗客の了承を得てから出発するようにしているという。
これまでのところ、利用客は値上げに理解を示しているとのことである。地方都市では公共交通機関の選択肢が限られており、バイクタクシーは市場への買い物や通院など日常の移動手段として欠かせない存在だ。料金が多少上がっても利用せざるを得ない住民の事情がうかがえる。
タイ各地では燃料高の影響が市民生活のあらゆる場面に波及している。ランパーン県では警察がパトカーの代わりに馬車で巡回を始め、救急ボランティアが出動を停止する事態も起きた。農村部ではトラクターを動かせず水牛のレンタルに問い合わせが殺到するなど、危機は地方の末端にまで深刻な影を落としている。


