タイ地方道路省(กรมทางหลวงชนบท/Rural Roads Department)が5月11日、夜10時以降の街灯消灯方針を公式説明した。対象は交通量が1時間あたり60台未満の閑散路線のみで、カーブ・交差点・住宅地・危険箇所は終夜点灯を維持する。約70〜80万本の街灯をLED化する計画も並行し、消費電力を40%削減する方針。背景には実際の街灯機能停止の主因が「銅線・変圧器の繰り返し盗難(1台17万バーツ規模)」という構造問題があり、コンクリート保護工事と夜間巡視で対応中だ。
地方道路省の発表によれば、消灯方針の運用基準は明確だ。(1)夜22時(4ทุ่ม)以降に消灯対象になるのは「交通量が時間60台未満」の路線のみ。(2)カーブ・交差点・住宅地・他の危険箇所は「例外なく終夜点灯」を維持。(3)安全と省エネを両立する柔軟な管理を採用する、という3点。
LED化計画の規模は大きい。対象は約70〜80万本の街灯で、2570〜2571年度(西暦2027〜2028年度に相当、タイ仏暦と西暦の差は543年)に段階的に実施する。予算は地方道路省の通常予算に加え、エネルギー基金から約2億バーツが投入される見込み。LED化により電気代を40%削減する見込みで、長期的な省エネ効果と財政負担軽減を狙う。
実は街灯が消えたままになる主因は、運用上の消灯ではなく「盗難」だった。地方道路省は明確に「銅線の繰り返し盗難と変圧器窃盗(1台あたり約17万バーツ相当)が、街灯が消えたままになる実際の原因」と発表。盗難の発生→街灯停止→地方道路省への苦情、というサイクルが構造的問題となっている。対応として、(A)コンクリート保護工事、(B)夜間巡視の強化、を実施中。
タイ国民の反応は分かれている。一方では「省エネは必要だが、夜間の安全を犠牲にするのは本末転倒」という意見。他方では「交通量60台未満なら確かに消しても問題ない」「LED化で40%削減できるなら賢明」という支持意見。地方道路省は「最大限の省エネと公共安全は相反しない」と説明し、住宅地・カーブ・交差点での終夜点灯維持を強調することで、安全懸念に対応する姿勢を見せた。
タイの街灯運用は地方部のコスト負担が大きい。地方道路省は約1万本以上の街灯を運用しており、電気代は年間数十億バーツ規模。LED化と消灯運用の組み合わせで、(1)電気代40%削減、(2)盗難損害の縮小、(3)公共安全の維持、を同時実現する戦略となる。
国際的な比較も興味深い。日本の地方道路では、交通量の少ない深夜時間帯に街灯を「間引き点灯」(1本おきに点灯)する運用が広く採用されている。完全消灯ではなく部分点灯することで、安全と省エネのバランスを取る方式だ。タイの「交通量60台未満で消灯」方式は、より明確な閾値設定で運用簡素化を狙うが、住民の体感安全には改善余地がある。
タイ在住の日本人駐在員家族にとっては、夜間運転の判断材料となる重要情報だ。(1)22時以降の地方部運転では、街灯が消えている路線を想定する、(2)カーブ・交差点・住宅地は引き続き点灯される、(3)盗難で消えた街灯は地方道路省への通報で復旧促進、などを意識すべき。バンコク市内(BMA管轄)は本方針の対象外で従来通り点灯されるが、地方ツアーや週末の郊外ドライブでは新しい運用に対応する必要がある。LEDヘッドライトの強化・ハイビームの適切な使用も、夜間運転の安全策として重要となる。