ラヨーン県ムアン郡マプタプット区バーンノンフェーップ朝市の前で5月10日朝、30代の女性が2サルン(約7.6グラム)の金指輪(約3万バーツ/約14万7000円相当)をティッシュに包んだ状態で誤って排水溝に蹴り落とすトラブルが発生。サイアム・ラヨーン救援隊が約10分の格闘の末、深さ約1メートルの排水溝から金指輪を回収する小ドラマがあった。市場の売り子たちも見守りの中、女性は涙を浮かべて喜んだ。
朝市場前で発生した事案で、女性は持ち歩いていた2サルンの金指輪をティッシュに包んでいた。何かのはずみでそのティッシュ包みを足で蹴ってしまい、近くの排水溝のフタの隙間から下に落としてしまった。気づいた時には水深約1メートルの溝の底にすでに到達。「自分のミスだ」と気づいた女性は市場の真ん中で立ち尽くし、涙を流していた。
通報を受けて駆けつけたサイアム・ラヨーン救援隊は、針金をL字型のフックに曲げて排水溝のフタの小さな穴から差し込み、ティッシュ包みを引き上げる繊細な作業を開始。問題はティッシュペーパーが水を吸ってボロボロに崩れ始めていたこと。気温の高い日中だったため救援隊員の汗が滴り、市場の売り子たちは固唾を飲んで作業を見守った。
排水溝のフタの穴は小さく、内部の状況は隊員が穴に顔を寄せて目視で確認するしかない。10分ほどの集中作業の末、ティッシュ包みと指輪を無事に引き上げることに成功。女性は涙を流して何度も救援隊に頭を下げた。
タイの金は仏教文化と密接に結びついており、家庭の貯蓄・贈答・お守りの全てを担う特別な存在だ。2サルン(約7.6g、約3万バーツ=約14万7000円)の指輪は中産階級の女性が日常的に身につける典型サイズ。失えば貯蓄の数か月分が消えるダメージのため、女性が市場の真ん中で泣いた気持ちは多くのタイ人に共感される。
タイの救援隊(ムーラニティ)は、火災・事故・遺体回収・ペット救助・指輪救助まで幅広く対応する民間の善意団体だ。サイアム・ラヨーン救援隊は本部を中心に複数の支所で24時間体制を組み、警察・消防の枠を超えた市民密着型の救援を提供してきた。今回のような小さな救助事案も、住民の信頼を支える日々の蓄積となる。
タイ在住の日本人駐在員家族にとっては、貴金属の取り扱い注意の好例となる。タイのアパート・コンドミニアム・市場では、排水溝・エレベーター隙間・洗面台パイプに小物を落とす事故が珍しくなく、特に幼児を連れた家族は注意したい。失った場合は、即座に救援隊(タイ全土で1669番、または地域救援団体)に連絡することで、回収できる可能性が高まる。