日本のFCGI研究所が公表した最新研究で、家庭の皿洗いスポンジが便器の便座より多くの細菌を保持していることが分かった。さらに、水のみで皿を洗った場合、皿に残留する細菌は8,000CFU(コロニー形成単位)に達する一方、洗剤を併用すると細菌はほぼ検出不能になる。タイ在住の日本人家庭にも直接的な影響がある実用的な研究内容で、衛生管理の見直しを促す結果だ。
スポンジが細菌の温床になる理由は明快だ。常時湿った状態にあり、毎日食べ物の残りや油汚れと接触する。バクテリアにとってこれ以上ないほど理想的な繁殖環境となる。FCGI研究によれば、数週間連続使用したスポンジには1万から1億単位の細菌コロニーが蓄積される。同じ表面積で比較すると、定期的に清掃された便座よりも汚いケースが多い、という衝撃的な結論だ。
実験は具体的だった。研究チームは、ヒトに病気を起こす細菌1億個を含ませ、スープの汚れも付着させたスポンジで「目視で清潔な皿」を洗浄。水のみを使った場合、皿には8,000CFUの細菌が残留した。「目には清潔に見えても、毎食ごとに細菌を体内に取り込むリスクのある状態」だったわけだ。一方、家庭用の通常の食器用洗剤を併用すると、細菌は皿からほぼ検出されなくなった。殺菌タイプの洗剤か通常タイプかは大きな差にならない結果だった。
研究者の推奨は3点。1つ目、皿洗いには必ず洗剤を使う(水のみで済ませない)。2つ目、スポンジは3-4週間ごとに交換する。3つ目、使用後は十分に水分を絞って乾燥させる。電子レンジで加熱(湿らせた状態で1分)や煮沸消毒も有効とされるが、毎日の習慣として持続するのは難しいため、3-4週交換が現実的な落としどころとなる。
タイ在住の日本人家庭での実践面では、3つの注意点がある。第一に、タイの気候は高温多湿でスポンジ細菌の増殖速度が日本より速い可能性がある。第二に、メイドが家事を担う家庭では、メイドの皿洗い習慣(水のみで済ませていないか)を確認する必要がある。第三に、タイの食器用洗剤(Sunlight、Bali、Mama Lemonなど)は日本製品と同等以上の洗浄力を持つ製品が多く、選択肢に困ることはない。
タイの公衆衛生省も近年、家庭内衛生の重要性を発信している。最近では、肉のラップ偽装、サーディン缶詰のラベル偽装などの食品事件が相次ぎ、消費者の食品衛生意識が高まっている。今回のスポンジ研究は、外部の食品供給だけでなく、家庭内の調理・食器管理の段階でも見えないリスクが潜むことを示唆している。
中年以降の世代では、免疫力低下に伴う食中毒・腸炎リスクも上がる。ヤン教授(チュラロンコン大学)によるハンタウイルスの解説でも触れられた通り、衛生環境の差が日本人駐在員家族の健康を左右する場面は意外と多い。日々の家事の中で、皿洗いスポンジという小さな習慣の見直しが、家族の健康に直結する。