パッタヤ・インド人協会会長のLaxman Singh氏が5月10日、観光客と在住者に向けて「巧妙な現金詐欺」への警戒を緊急に呼びかける警告を発した。協会事務所には直近で4人のインド国籍者が「両替・現金検証を装った詐欺師に金銭を盗まれた」と被害報告に訪れており、被害規模は深刻化している。タイ在住外国人全般に注意を要する手口だ。
報告された詐欺の手口は単純だが効果的。詐欺師は通行人に近づき、「両替を手伝う」「外貨の真贋を確認する」「金融取引を支援する」などの「親切」を装って、被害者に現金や貴重品を出させる。被害者が現金を見せた、または手渡した瞬間、詐欺師は金品を持って逃走する。観光客が現金を多く持ち歩く傾向を狙った典型的なストリート詐欺だ。
会長の警告は4つの安全行動を含む。1)見知らぬ人の前で現金を見せない。2)信頼できない人物に金銭を渡さない。3)不審な行動を発見したら警察に通報する。4)金融取引は信頼できる場所(銀行・正規の両替所)で、第三者の証人立会いの下で行う。
パッタヤはタイ屈指の観光地で、インド人観光客の数も急増している。2024年の年間訪タイ・インド人は約180万人で、2026年は200万人到達も視野に入る規模だ。観光客の増加に伴って、詐欺グループが「観光地で現金を持つインド人」をターゲットにする事例が増えてきた。今回の警告はインド人協会経由で発信されたが、手口自体は国籍を問わず適用される。
パッタヤでは直近、外国人観光客と在住者を取り巻く事件が相次いでいる。5月10日にはカマラ地区のカフェでインド人観光客5人が集団失神、1人死亡する事件も発生し、警察と保健当局が捜査中。同日にはパタヤ近郊で34歳男性が女性なりすましチャットの罠で射殺される事件も報じられた。観光地ガバナンスの引き締めにアヌティン首相自ら現地視察に乗り出すなど、パッタヤを含む南部観光地全体での治安問題が浮上している時期だ。
タイ在住の日本人駐在員にとっても、今回の警告は他人事ではない。パッタヤ・プーケット・バンコクの観光地で、両替所周辺やATM近くで不審に近づく人物への警戒が必要だ。特に「困っているふり」「外貨の真贋を尋ねる」「タイ語が通じる相手」など、日本人を狙った変則パターンも報告されている。タイ警察観光警察(1155)への通報手段を覚えておくことが基本となる。
中華系・インド系・西洋系を問わず、観光客の現金所持習慣の差を狙った詐欺は世界共通の問題で、近年のタイでは仮想通貨投資勧誘・SNS恋愛詐欺・タクシー料金水増しなど、形を変えながら継続している。今回のパッタヤ・インド人協会の警告は、コミュニティ単位での注意喚起の好例として、他の在留外国人協会にも参考になる動きだ。