プーケット県カトゥー郡カマラ地区の有名カフェで、5月9日未明にインド人観光客5人グループが集団で意識を失う事件が発生し、うち1人が同日午後に搬送先の病院で死亡した。残り3人は容体安定。1人だけはほぼ無症状で、警察と医療当局が司法解剖と店内残留物の検査で原因究明を急いでいる。
報道によると、5人は5月8日午後11時頃に同カフェに到着。深夜から未明にかけて滞在を続けたが、5月9日午前1時54分頃に4人が次々と意識を失い、店側が救急隊に通報した。死亡したのはクチャクラ・アガーワル氏で、コーマ状態でワチラ・プーケット病院に搬送された後、午後2時30分に死亡が確認された。他の3人は同病院で治療を受け、容体安定の段階に入っている。
注目されるのは、同じグループ5人のうち1人だけがまったく症状を示さなかった点だ。同じ場所・同じ時間帯の同行者でありながら無症状だったケースは、食事・飲料の個別摂取の差、薬物の混入、ガスや空気感染ではなく特定の口からの摂取物が引き金だった可能性を示唆する。プーケット県警察と保健当局は、店内の食事・飲料・調理器具・空調設備までを対象に検査を進めている。
カマラ地区はパトンの北側に位置するビーチリゾートエリアで、5つ星リゾートが並ぶ静かな観光地。オーストラリア人・北欧人・インド人の長期滞在客に好まれており、深夜営業のカフェ・ラウンジが点在する。グループ旅行で来訪したインド人観光客が深夜のカフェで集団失神した今回の事件は、「タイの観光地での飲食」が前提から覆る性質を持つ。
タイの観光地での薬物混入・酩酊事件は近年たびたび報じられている。アルコール飲料への違法薬物混入、調理過程での農薬・化学物質の混入、ニセのウィスキー(メタノール混入)による集団中毒、CBD/THC含有食品の意図しない摂取など、原因のパターンは複数あり、検査結果を待つ必要がある。
プーケットでは直近、観光警察が外国人取締りを強化し、観光地ガバナンスの引き締めにアヌティン首相自ら現地視察に乗り出すタイミングだった。今回の事件はその流れの中で「観光客の安全」をめぐる新たな試金石となる。
インドはタイにとって最大級の観光客送出国で、2024年は約180万人規模が来訪、2026年は200万人到達も視野に入る。インド人観光客のSNSでの発信力は高く、本件の検査結果と原因公表が遅れれば、タイ観光業全体への風評被害につながりかねない。タイ警察は、今回のグループの宿泊先・移動経路・カフェ滞在中の注文内容を含めて聞き取りを進めている。