中国人ミンチェン・サン氏(31)の武器庫事件で、警察は5月10日、長期にわたって行方を追っていた元海軍兵「ジャオ・ヘープ」を拘束した。彼は過去に「有名企業の現金輸送車強盗事件」で逮捕された経歴を持つことが判明し、捜査当局は今回の銃売買ネットワークが組織犯罪の延長にあるとの見方を強めている。
ミンチェン氏に銃を供給したとされる関係者は、すでに身柄を確保されている射撃訓練教官チェン氏(パッタヤ射撃場)、海軍上等兵メーティー氏、口座貸与役・銃引き渡し役のジャムロン氏(51)、本日午前に拘束されたジャオ・ボーイに続き、ジャオ・ヘープが5人目となる。
事件の発端は、5月8日にチョンブリ県ナーチョムティアン警察署管内でミンチェン氏(31、中国)が運転する乗用車が転倒した際、車内から銃と弾倉が発見されたこと。同乗していた台湾人のミス・A YU-HSIN(33)も身柄を確保された。後の家宅捜索で、ソイ・ホイヤイの住宅から軍用銃、高威力爆薬(C4)、対人爆発装置、手榴弾10個などの軍用級武器庫が発見された。
ジャオ・ヘープの過去の犯罪歴については、警察が「有名企業の現金輸送車強盗事件で逮捕された前歴がある」と発表した。具体的な事件年月や対象企業は本稿時点で公表されていないが、当時は大きく報道されたとされ、軍籍を離れた後も組織犯罪との接点を持ち続けていた人物である可能性が高い。捜査当局はこの過去の人脈を通じて、武器密売ネットワークの全貌を解明する手がかりにする方針。
ミンチェン氏自身については、移民局がパッタヤ拘留所で24時間監視を継続。容疑者は「死にたい」「爆弾で自殺する」との発言を繰り返しており、虚弱状態で常用薬の服用が続いている。容疑者の身柄保全と並行して、押収された爆発物・銃・通信機器の精査が警察庁鑑識本部で進められている。
アヌティン首相は「最深部まで捜査拡大」を指示し、BHQと呼ばれる越境犯罪組織との関連性も視野に入れている。今回ジャオ・ヘープに過去の現金輸送車強盗歴があることが判明し、軍籍関係者と一般組織犯罪の連結点が初めて明示的に浮上した格好だ。
事件の余波として、フリービザ滞在期間60→30日への短縮、エリートビザ運用の見直しなど、外国人受入制度全体の引き締めが進む。タイ在住の日本人駐在員家族・長期滞在者にとっても、入国時審査・在留資格更新の運用が今後どう変わるかが直接的な関心事となる。
5人目の関係者拘束で、ミンチェン氏の武器供給ネットワークの主要メンバーがほぼ全員捜査対象となった。残るは銃の最終的な出所であるサイマイ警察署副捜査官名義の拳銃、警察拳銃訓練教官保有のM4等の流通経路の解明、そして容疑者本人の真の動機(自殺準備か、テロ準備か、組織的な武器転売か)の特定だ。