中国人ミンチェン・サン氏(31)の武器庫事件で、5月10日に新たな進展があった。元海軍兵「ジャオ・ボーイ」氏が銃供給役として身柄を拘束され、ナーチョムティアン警察署で取り調べを受けている。同時に、事故車両に同乗していた台湾人女性のビザを移民局が取り消した。容疑者本人は身柄をパッタヤ移民局拘留所に移送され、虚弱状態で常用薬の服用が必要な状態が続いている。
前日には元海軍兵2人「ジャオ・ヘープ」「ジャオ・ボーイ」が銃売買ネットワークに新たに関与していたことが判明していたが、今回その一方であるジャオ・ボーイ氏が実際に取り調べに乗ったことになる。捜査当局は、サタヒープ地区を中心に残るジャオ・ヘープ氏の所在追跡を続けている。
ジャオ・ボーイ氏の役割について警察は「中国人ミンチェン氏に銃を手配する」中継役と位置付ける。これまでの捜査で、銃の流通経路はパッタヤ射撃場の射撃訓練教官カチェントー氏が起点となり、海軍上等兵メーティー・ナーロム氏、元海軍兵ジャオ・ヘープ、続いてジャオ・ボーイ、そして口座貸与役・仲介者ジャムロン氏を経て、最終購入者ミンチェン氏に到達する5段階の連鎖が浮かんでいた。
同行していた台湾人女性は事故時にミンチェン氏の車に同乗しており、24時間以上の取り調べを受けて「有用な情報」を提供したとされる。それでも移民局はこのタイミングで彼女のビザを取り消した。捜査関係者によると、武器庫への関与の度合いとは別に、入国目的の偽装や同行者としての滞在資格の整理を狙った措置とみられる。
5月10日朝、警察庁鑑識本部の爆発物データセンター職員がナーチョムティアン警察署を訪れ、押収された軍用銃・銃弾・手榴弾・C4爆薬・対人爆発装置などの詳細鑑定を開始した。特に手榴弾10個と組み合わせた爆発装置の出所が捜査の焦点で、軍用級の爆発物がどのルートで国内に持ち込まれたかが解明できれば、組織的な武器密輸の全貌に迫れる可能性がある。
容疑者本人については、前夜の昼夜連続取り調べを経てパッタヤ移民局拘留所に身柄移送された段階で、明らかな疲労がみられ、常用薬を絶えず服用する状態が続いている。「死にたい」「爆弾で自殺する」と発言を繰り返していることを受け、移民局は24時間態勢の監視を継続している。
ミンチェン氏の入国履歴も整理された。初回タイ入国は2020年で観光ビザ、最新入国は2026年1月27日でエリートビザ(タイランド・エリート)。長期滞在を可能にする高額ビザを使って、武器密輸ネットワークと結びつく拠点を構築していた疑いが強まっている。
タイランド・エリートビザは長期滞在を提供する高額有償ビザ制度だが、武器密輸への悪用が確認されれば、制度設計そのものへの見直し圧力が強まる。フリービザ滞在期間の60→30日への短縮に続いて、エリートビザの審査・更新基準にもメスが入る可能性がある。