タイ・ペッチャブリ県のケーンクラチャン国立公園で5月9日、大型の黒豹2匹が路上で求愛行動を取る珍しい映像が、観光客によって撮影された。本来は警戒心が強く深い森に潜む黒豹が、観光道路脇で堂々と自然な行動を見せたことで、公園長は「野生動物が人間活動から脅かされていない確かな指標」と評価。ユネスコ世界遺産に登録された自然保護地区の状態の良さを象徴する出来事となった。
ケーンクラチャン国立公園で黒豹2匹が路上で求愛、希少映像
ケーンクラチャン国立公園当局が公開した動画は、観光客のタイ人が公園内の道路を移動中に偶然撮影したものだ。映像には大型の黒豹2匹が道路脇で穏やかに並び、求愛・交配行動を取っている様子が映っている。本来、黒豹は深い森林の奥に潜み、人間の存在を察知すると即座に隠れる用心深い大型ネコ科動物だ。それが公園の道路脇で堂々と求愛を見せた状況自体が、極めて珍しいとされる。
公園長「野生動物が人間活動から脅かされていない確かな指標」
ケーンクラチャン国立公園のモンコル・チャイパクディ公園長は、今回の映像について「野生動物が人間の活動から脅かされていないことを示す重要な指標」とコメントした。続けて「ケーンクラチャンがユネスコ世界遺産地域として、観光と自然保全のバランスを保つことに成功している証拠だ」と述べ、公園運営の姿勢が結果を出していると強調した。
黒豹の生態とケーンクラチャンの保護区としての位置
黒豹はインドシナ亜種のヒョウのうち、メラニズム(黒色変異)の個体を指す。タイの森林ではケーンクラチャンを含む西部森林群(カオサーミーロイヨート、トゥンガイナレースワン、フエカケーンなど)で確認されているが、目撃例自体が極めて稀で、生息数も限られる。求愛行動が観察されるのは保護区内で個体群が健全に維持されている証拠で、繁殖期に複数のオスとメスがいる状況が成立していることを示唆する。
在タイ日本人にも観光価値、ケーンクラチャンの位置と訪問
ケーンクラチャン国立公園はバンコクから車で約3時間、ペッチャブリ県とラチャブリ県にまたがる広大な森林保護区で、日本人駐在員家庭の週末旅行先としても知られている。野鳥観察、森林トレッキング、川下りが主な観光メニューで、運が良ければ象、サンバージカ、ガウル、そして今回のような大型ネコ科動物に遭遇する可能性もある。一方で同公園では同日、職員の父親が野生象に襲われ亡くなる悲劇も報告されており、保護区域内の野生動物観察は適切な距離を保ち、ガイドの指示に従うことが必須となる。