タイ北部ランプン県のリー川(แม่น้ำลี้)で5月11日、住民が「ワニのような生き物」を目撃して撮影した写真が公開され、地域に大きな動揺が走っている。動物の正体は本稿時点で未確認だが、川面に頭部と胴体らしき形が浮き出ている画像がSNSで急速に拡散しており、地元自治体は住民に対して「川での水浴び・接近を当面避けるように」と緊急警告を発した。
問題の動物は、ランプン県内のリー川中央部で目撃された。住民が撮影した画像には、水面から「ワニの頭部」と「胴体の一部」と思われる形が突出しており、生き物としての特徴が認識できる状態。住民からは「本物のワニ(ジャラケー/จระเข้)かもしれない」「実物大なら数メートル級」「子供を川に行かせるのは危険」といった声が相次ぎ、地域コミュニティのSNSグループで急速に共有されている。
ただし現時点で、関係当局からの公式確認は出ていない。実際にワニなのか、別の水生生物(オオトカゲ、巨大ナマズ、シーラ等)なのか、人工物なのかは判明していない。地元の村長は「真偽が確認できるまで、川辺の住民は警戒を強めること」「子供たちを川に行かせないこと」「同様の動物を目撃した場合は、地元当局または救援隊に直ちに通報すること」を呼びかけている。
タイ国内のワニ目撃事案は、2010年代以降、各地の運河・川・湖で報告されている。背景には、ペットや養殖場から逃げ出したワニの個体、洪水で野生動物が普段とは異なる地域に移動する事例、さらには山岳地帯から下流に流れてきたサイアム・クロコダイル(タイ固有種)の野生個体が考えられる。実際にワニであった場合、住民への直接的な危害リスクは無視できない。
ランプン県は、タイ北部のチェンマイ県の南に隣接する観光・農業地域で、リー川は中部のメコン水系に接続する川。観光客が直接リー川で水浴びすることは限定的だが、地元住民の生活用水・農業用水・釣り場として日常的に利用されている。今回の動物が実際に何であれ、住民の警戒心を喚起する効果は確実に現れている。
同時期にタイ全土の野生動物関連事案では、5月10日にブンカン県プーウア野生生物保護区で39歳女性が野生象に襲われ死亡、同日にタイ最長の象牙を持つ「プラーイ・トーンバイ」象が53歳で死亡するなど、人間と野生動物の関係性を考えさせる事案が連続している。
タイ在住の日本人駐在員家族にとっては、地方部の自然水域でのレジャー時に「予期しない大型動物との遭遇」リスクを改めて認識させる事案だ。タイ北部の山岳・河川エリアでの観光・トレッキング・キャンプは魅力的だが、現地住民の警告・地域当局の情報・救援連絡先(1669)の事前確認は欠かせない。今回の動物が確認されるまで、リー川周辺は要警戒となる。