タイ深南部ナラティワート県ウェーン郡カユークラ区バーンマイファド地区を通る幹線道路4057号線で5月11日、国境警備隊(タハーン・プラン)の車両隊列が爆弾テロの標的となり、隊員3人が負傷した。タイ陸軍特殊任務部隊「ฉก.ทพ.11」(特任パトロール第11連隊)の部隊行動中の事案で、爆発で車両が上下逆転、4輪を空に向けた状態となった。負傷者はスンガイ・コーロック病院に緊急搬送された。爆発物処理隊(EOD)と鑑識班が現場検証を進めている。
事案は5月11日に発生。タイ陸軍特殊任務部隊「ฉก.ทพ.11」(タハーン・プラン第11連隊特殊任務隊)に所属する第1106パトロール隊が、別任務部隊を迎えに行く途中、ナーマカオ橋(สะพานน้ำขาว)の手前のバーンナーマカオ地点で犯人が爆弾を起爆した。爆発の衝撃で車両は上下逆転、隊員3人が即時に負傷した。
負傷した隊員は3人、いずれも氏名が公表されている:
- 第1中隊曹長 コムクリット・リッタパーイ氏
- 上等兵 アディソン・カムブンチュアイ氏
- パトロール輔助兵 ポンサコン・センブンミー氏
3人ともスンガイ・コーロック病院に搬送され治療中。爆弾の規模・起爆方式・犯人の人数・所在は本稿時点で公表されていないが、深南部反政府武装勢力の常套手段である「即席爆発装置(IED)」による道路上の伏撃と見られる。
タイ深南部3県(パッタニー、ヤラー、ナラティワート)では、2004年以降、マレー系イスラム教徒の分離独立運動と政府治安部隊との武装対立が続いている。2024-2026年もパトロール部隊への爆弾攻撃、警察署襲撃、教師暗殺などの事案が断続的に発生しており、長期的な治安課題となっている。今回の攻撃も、その文脈の一部に位置づけられる。
タイ深南部の武装勢力との対立は、タイ全国メディアでは継続的に報道されてきたが、近年は5月10日のヤラー〜ベトン410号線でタイヤ放火・釘巻きの事件など、より小規模な妨害行為も増加。深南部での武装勢力の活動形態が「大規模攻撃」から「小規模・分散型」に移行している傾向も指摘されている。
5月7日のアヌティン首相とフン・マネット首相のセブASEAN三者会談で、タイ・カンボジア国境問題は和解方向で動いたが、ナラティワート県のような深南部の治安課題はマレーシアとの国境管理・宗教コミュニティとの対話・経済格差解消など別の枠組みの問題として残る。
タイ在住の日本人観光客・駐在員にとって、深南部3県は外務省の安全情報で「不要不急の渡航延期」または「渡航中止勧告」の対象となっている地域だ。観光地ハジャイ(ソンクラー県)の南側に位置するパッタニー・ヤラー・ナラティワートには、日本人観光客が立ち入る機会は極めて限定的だが、陸路でマレーシア国境(スンガイ・コーロック)を越える際には、爆弾事案・銃撃戦が発生する地域を通過するリスクがあるため、外務省最新情報の確認が必須となる。