トラン県の長距離バスターミナルが混雑している。ディーゼル価格の高騰を受けて自家用車を諦めた住民が、路線バスやミニバスに流れ込んでいるためだ。公共交通機関の利用者は30〜40%増えたという。
一方で、その路線バス自体もコスト増に耐えられなくなった。南部の県間路線を走るバンやミニバスは、すでに1路線あたり20〜30バーツの値上げに踏み切っている。トランからパッタルン、ラノート、ハジャイ、ソンクラーを結ぶ路線が対象である。
燃料が上がれば運賃が上がる。運賃が上がっても、自分でガソリンを入れるよりはまだ安い。だから人が集まる。だが運賃がさらに上がれば、今度はバスにも乗れなくなる人が出てくる。
スリン県の市場では商売人が「店をたたむ」と悲鳴を上げ、ウドンターニーの観光業は7割減。燃料危機の波は地方の移動手段にも確実に押し寄せている。
日本であれば鉄道やバスの運賃が数十円上がるだけで大きなニュースになるが、タイの地方では補助金も鉄道もなく、ディーゼルで走るバスが唯一の交通手段という地域が少なくない。20〜30バーツの値上げは、往復で100バーツ近い負担増になる。日当300バーツの労働者にとって、移動コストだけで収入の3分の1が消える計算である。
