燃料危機の影響は、ついに死者にまで及んだ。ブリーラム県サトゥック郡で棺桶の製造・販売を手がけるチャッチャワーン・ロットホムさん(42歳)は、棺桶の価格を1個1,500バーツから1,700バーツに値上げした。
理由はシンプルだ。棺桶工場から「次のロットから値上げする。輸送にディーゼルがかかるから」と通知が来た。チャッチャワーンさん自身も、客から注文を受ければ配送用の車を走らせる必要がある。ディーゼルが50バーツを超えた今、据え置きは不可能だった。
葬儀業界では別の悩みも出ている。葬儀の手配を請け負うチャッチャイさん(37歳)は「この業界は思いやりで成り立っている。サービスできるところはサービスしてきた」と話す。だが今は、客との打ち合わせに行くだけでガソリン代が重くのしかかる。今後は距離に応じた料金計算に切り替えざるを得ないという。
タイの葬儀は地方では3〜7日間にわたって行われ、親族や僧侶の送迎、供物の運搬など車の出番が多い。ディーゼルが50バーツの大台を突破して以来、漁船やトラックが止まり、バス運賃やボート代が上がり、卵やライムの価格まで跳ね上がった。棺桶の値上げは、燃料危機があらゆる生活の隅々に浸透していることを象徴している。
200バーツの値上げは金額としては小さい。だがタイの地方では葬儀費用が家計に大きな負担となるケースも多く、「死んでも楽にさせてもらえない」という嘆きが聞こえてきそうだ。
