タイ東北部(イサーン)20県を統括するイサーン輸送協会のキッティサック・プラトゥアンチャイシー会長は4月3日、ディーゼル価格の急騰が続いた結果、加盟610社・個人事業者を含む計5万台超のトラックのうち大多数が採算割れに陥り、運行を停止または減便していると発表した。
4か月で14バーツの値上がり
問題の核心はディーゼル価格の急騰速度だ。中東危機が始まった2025年11月以降、ディーゼルは4か月で7回・計14バーツ以上値上がりした。1リットルあたり47バーツを超えた現在、「朝に値段を確認してから出発しても、帰り着く頃には既に変わっている」という現実だ。
運送業者は長距離・大量輸送を担う産業の性格上、燃料費の変動をすぐには運賃に転嫁できない。荷主との契約は数週間・数か月単位で結ばれており、燃料が急騰しても運賃を即座に引き上げる交渉は難しい。結果として「走るほど赤字が膨らむ」状態に陥った多くの業者が、合理的な判断として運行を止めた。
農産物物流の停止が引き起こす連鎖
イサーンの輸送の約60%は農産物向けだ。コメ・キャッサバ・サトウキビ・ゴム・トウモロコシなどタイの主要輸出農産物が産地に滞留し始めている。農家は収穫しても出荷できず収入が止まる。都市部や輸出港での食料品供給が細れば、物価をさらに押し上げる連鎖が生じる。
ブリーラムではソンテウ(乗合バス)が90台から3台に激減したとの報告もあり、公共交通の麻痺も起きている。
政府の対応と限界
石油基金による価格補填と上限設定を続けるタイ政府だが、国際原油価格が高止まりを続ける限り補填能力に限界がある。輸送業が一斉に廃業・倒産すれば、価格が落ち着いた後も物流網の回復に数か月〜数年かかるとの懸念が現場では強い。