燃料危機がタイの米農家を直撃している。ディーゼル高騰でコンバインの稼働費、肥料の価格、収穫米の輸送費がすべて上昇しているにもかかわらず、米の買取価格はキロあたりわずか7バーツ(約35円)にとどまっている。
農家の嘆きは切実だ。田植えから収穫までのあらゆるコストが燃料価格に連動して上がっている。トラクターやコンバインはディーゼルで動き、肥料は工場から輸送され、収穫した米は精米所や集荷場まで運ばなければならない。その全工程で燃料費が上乗せされる。
しかし米の買取価格は市場の需給で決まるため、農家のコスト増を反映して上がるわけではない。キロ7バーツでは、燃料危機以前でも利益が薄かった農家が今や完全に採算割れだ。
イサーンのトラック数万台が運行停止し、農産物の物流も滞り始めている。収穫しても運べない、運べても売れる価格では元が取れない。農家は二重の危機に直面している。
タイは世界有数の米輸出国だが、その生産を支える農家が燃料危機で疲弊すれば、中長期的な食料安全保障にも影響が及ぶ。政府は農業省が13の支援措置を閣議に提出する予定だが、農家の現場では「もう待てない」という声が上がっている。