エネルギー危機に端を発した物価高騰がタイ全土を直撃する中、チャイナート県の食堂を営む70歳のおばあちゃんが「お客さんが困るから」と値上げを拒み続けている。ソンクラーン連休を前に家計を圧迫される庶民の間で、この食堂の姿勢が話題を呼んでいる。
チャイナート県の幼稚園近くにある「ヤーイ・ウィー」の愛称で知られるこの食堂は、毎日約100個の弁当を作る人気店である。メニューは1品40〜50バーツ(約194〜243円)。燃料高騰で食材が軒並み値上がりする中でも、この価格を一切動かしていない。
店主のチャウィーワン・ジョンポンさん(70歳)は「米も野菜も油も卵も肉も、全部じわじわ上がっている」と苦しい台所事情を認めつつも、「利益は従業員の給料を払って少し残る程度でいい。お客さんに負担をかけたくない」と語る。値上げするくらいなら自分の利益を削る、という信念である。
タイではディーゼル価格が50バーツを突破し、輸送コストの上昇が食材価格に波及している。ライムが1個8バーツに急騰し、コンケンの麺屋が麺の提供をやめてカオマンガイ1本に絞るなど、飲食業への打撃は深刻である。
ソンクラーン連休を控え、帰省費用や交通費の負担も重なる中、「歯を食いしばってでもお客さんには元の値段で食べてもらう」というヤーイ・ウィーの言葉は、多くのタイ人の胸を打っている。