チェンマイは3月31日に災害区域に指定されたが、4月に入っても事態は好転していない。盆地特有の気象現象「逆転層」が大気を閉じ込め、街全体が有害な煙に覆われている。
チェンマイは四方を山に囲まれた盆地に位置する。この時期、上空に暖かい空気の層が「蓋」のようにかぶさる逆転層が発生し、地表の汚染物質が上空に拡散できなくなる。タイ語で「ฝาชีครอบเมือง(蓋が街を覆う)」と呼ばれる現象で、風も雨もない状態が続くとPM2.5が盆地の中に蓄積し続ける。
4月1日のチェンマイのAQI(大気質指数)は205で「深刻」レベル。過去24時間の最悪値は328(「危険」レベル)を記録した。PM2.5濃度は世界ワーストを記録し、31県で基準値を超過している。
森林火災による焼失面積は約90万ライ(14.4万ヘクタール、東京都の約7割に相当)に達した。1月1日から3月末までにチェンマイ県だけで2,090以上のホットスポットが観測されている。3月24日には15郡で158件の火災が同時発生し、前日の5倍に跳ね上がった。
森林火災パトロール隊員が消火任務後に死亡する事態も起きており、現場の過酷さが増している。元国会議員は「火災は予算獲得のための放火ビジネスだ」と暴露し、構造的な問題も浮上した。
チェンマイのバーニングシーズン(焼畑の煙害期)は例年2〜4月だが、2026年は中東情勢による森林管理予算の逼迫と、記録的な猛暑が重なり異例の深刻さだ。4月中旬〜5月の雨季入りまで改善は見込めない。
バックパッカーに人気のパーイ(メーホンソン県)は全国最悪の汚染を記録しており、この時期の北部タイ渡航にはN95マスクの携帯が不可欠だ。屋外での長時間活動は健康リスクが高い。


