ナコーンラーチャシーマー県ワンナムキアオ郡の民家に、体長4メートルのキングコブラ2匹が侵入し、庭で絡み合って格闘する騒ぎがあった。2026年3月24日夜、ナコーンラーチャシーマーの救助チーム「フック31」が出動し、約2時間かけて2匹の捕獲に成功した。住民がパニックに陥る一方で、縁起物として歓迎する声もあがった。
現場はムー6のファイヤイタイ村(บ้านห้วยใหญ่ใต้)内の民家の庭だ。家番号97番の住宅で、夕方頃に住民が大型の爬虫類が2匹いることに気づき、すぐさまフック31に通報した。救助隊員は先端にゴム製のフォーク状金具を取り付けた長い棒と、ステンレス製の捕獲バサミを持って現場に急行した。捕獲は容易ではなく、専門的な知識と道具を使った約2時間の作業の末に安全確保に成功した。
現地に到着した隊員が目にしたのは、褐色の縞模様と真っ黒の個体が、まるで格闘技の試合のように体を絡ませ合っている光景だった。2匹とも体長は4メートルを超え、互いをまったく意に介さず周囲の人間を無視するように格闘を続けていた。専門家によると、この行動はオスがメスを巡って争う求愛行動の一種とみられる。繁殖期にあたる3〜5月は、タイ国内でキングコブラの目撃情報が増える時季だ。
キングコブラ(タイ語:งูจงอาง)は世界最長の毒蛇で、成体は3〜5メートルに達する。タイの森林や農村部に生息し、春先の繁殖期にはより活発に動き回る。一噛みの毒液量は他の毒蛇より多く、正しい処置をしなければ死に至る可能性がある。ただし気性はおとなしめで、人間への攻撃は挑発された場合に限られることが多い。インドネシアやマレーシアにも分布するが、タイ北部・東北部の農村部では定期的に目撃される。
地元の住民数名がスマートフォンで格闘の様子を動画に収め、翌日にはソーシャルメディア上で数万回以上の再生数を記録した。特に興味深いのは、家主の反応だ。通常なら毒蛇の侵入はパニックの原因になるが、この家の住人は「縁起のいい蛇が来た。家業が上向く」と喜んだ。2匹の蛇が絡み合う姿を見た住民たちは、民家の番号97や周辺の数字を宝くじの当選番号のヒントとして記録した。タイでは不思議な動物の出現が宝くじの数字を示すという信仰が広く根付いており、今回も多くの人が番号狙いに走った。
捕獲した2匹は袋に入れられ、翌朝に近くの森林地帯に放された。フック31の隊員は「住民には近づかないよう指示し、安全に確保できた。元の自然に戻したことで問題はない」と語った。タイでは年間数百件のキングコブラ民家出没が報告されており、専門の救助チームによる対応体制が各地で整備されている。
キングコブラはタイで毎年数千件の咬傷事故を引き起こす一方、農村部の鼠害防止に一役買っているという側面もある。生態系の保全の観点から、捕獲した個体は可能な限り自然に返すことがタイの原則となっている。
なお、タイで販売される宝くじは政府公認の2桁・3桁番号くじ(สลากกินแบ่งรัฐบาล)で、1枚80バーツが定価だ。当選金額は最高賞が600万バーツ。今回のキングコブラ騒動で注目された家番号97や蛇の数字「2」、捕獲日3月24日の「24」「24」なども当日の宝くじ購入に影響したとされる。
在タイ日本人や日本からの訪問者にとっても、今回のような出来事はタイの社会・文化の一側面を理解するうえで参考になる。タイと日本の間には歴史的・経済的な深い結びつきがあり、在タイ日系企業のビジネス活動や日本人観光客への影響も無視できない。今後も継続的な情報収集と現地状況の把握が重要だ。