タイの観光地パタヤのジョムティエンビーチで2026年6月5日の朝、大量のムール貝とマテ貝が波で打ち上げられ、これを拾い集めようと多くの住民が浜辺に殺到した。人々は麻袋やプラスチックのバケツを手に、ビーチに散らばった貝を次々とすくい上げた。
ジョムティエン浜に殺到した住民
貝が打ち上げられたのは、ジョムティエンの第12区画前の海岸一帯である。確認されたのはアジアミドリイガイ(グリーンマッスル)とマテ貝で、強い波が貝を岸へ運んだとみられる。朝早くから情報が伝わり、近隣の住民が続々と浜に集まった。集まった人の中には、一人で数十キロから100キロほどを持ち帰る人もいたという。拾った貝は自宅に持ち帰って調理して食べるという住民が多く、浜辺は早朝からちょっとした祭りのような賑わいとなった。
ジョムティエンビーチでよく知られる人物のチャンプ氏は、打ち上げられた貝は安全に食べられると話し、その場でピリ辛のシーフードソースを使って調理し、振る舞ったという。普段は市場で買う貝が、波に乗って無料で大量に手に入る光景は、地元の人々にとっても珍しい出来事である。
年に一度、モンスーンがもたらす「海の恵み」
地元では、この貝の打ち上げはモンスーン(雨季)の時期に年に一度ほど起こる現象として知られている。タイ湾では、5月ごろから10月ごろにかけての南西モンスーンの時期に波が高くなり、海底や岩場に付着した貝が押し流されて岸に打ち上げられることがある。今年は例年よりも貝が大きいといい、思わぬ海の恵みに住民の表情も明るい。
一方で、大量に打ち上げられた貝は、海水の状態によっては鮮度や安全性に注意が必要になる場合もある。貝類は水質の影響を受けやすく、地域によっては当局が一時的に採取や食用を控えるよう呼びかけることもある。今回は地元で食用可能と判断されたが、見慣れない大量の海産物を口にする際は、十分な加熱と鮮度の確認が欠かせない。
タイの食卓になじむミドリイガイ
アジアミドリイガイは、タイでは焼き貝やタイ風のオムレツ「ホイトート」など、日常的な料理に使われるなじみ深い食材である。パタヤのあるチョンブリー県を含むタイ湾沿岸では養殖も盛んで、市場や食堂で安く手に入る大衆的なシーフードとして親しまれている。自然の波が貝を一斉に運んでくる光景は、海と隣り合わせに暮らすタイの沿岸地域ならではの、季節の風物詩といえる。