中国政府は約4年ぶりとなる大規模な燃料価格の引き上げを実施した。ガソリンとディーゼルの小売価格を同時に値上げし、中国の標準ガソリン価格は1トンあたり9,900人民元を超える水準となった。
中東情勢の悪化を受けた国際原油価格の高騰を背景に、中国も国内への補助金維持が困難な局面に達したと判断したものとみられる。中国は世界最大の原油輸入国であり、その調達量は日量約1,000万バレルに達する。これほどの規模の輸入国が価格を引き上げたということは、単に国内問題にとどまらず、国際原油市場の需給バランスにも影響を与える可能性がある。
タイはすでに3月に大幅な燃料価格の引き上げを経験しており、フィリピン、ミャンマー、日本、インドネシアなど周辺のアジア諸国でも軒並み燃料価格の上昇が続いていた。中国での値上げはその連鎖を「アジア最大規模の経済圏」にまで拡大させたことを意味する。アジア全体が「原油高の連鎖」に巻き込まれているという構図が鮮明になった。
中国の燃料値上げは世界の製造業コストにも波及する。中国は「世界の工場」として機能しており、製品の生産・輸送コストが上がればグローバルなサプライチェーン全体の物価に影響が及ぶ。タイは中国との貿易量が大きく、中国からの輸入品価格の上昇はタイ国内の消費者物価にも間接的に影響しうる。
タイにとっては自国の燃料危機への対応と並行して、中国・インドなどアジア主要国のエネルギー需要動向を注視する必要がある。世界的な原油需要が高い水準を保つ限り、価格の高止まりは続くとみられており、再生可能エネルギーへの転換を加速することが中長期的な解決策として再認識されている。