プーケットの幹線道路で、幼い子どもが大人の膝の上に座って車のハンドルを握る様子が動画に収められ、SNSで批判が殺到している。撮影されたのは交通量の多い道路で、車は左右に揺れながら走行し、後続車が速度を落とす場面もあった。安全を顧みない行為に対し、タイのネット上では「警察は何をしているのか」という声が相次いでいる。
プーケットの幹線道路で撮られた一部始終
問題の動画は6月9日の夜、プーケットの有名なニュースページがSNSに投稿したことで一気に広まった。映っていたのは、外国人とみられる10歳未満の男児が、同じく外国人の大人の膝の上で運転席に座り、ハンドルを握る姿だ。大人も補助的にハンドルへ手を添えているように見えるが、車はチャオファー通りをセントラル・プーケット交差点の方向へ進みながら、左右にふらついていた。周囲を走るほかの車は、危険を察してスピードを緩めたという。 リゾート地として知られるプーケットだが、幹線道路は地元の通勤車やバイク、観光客のレンタカーが入り混じり、決して走りやすい場所ではない。そこで子どもにハンドルを握らせる行為は、家族だけでなく周囲の通行人をも危険にさらすものだと受け止められた。
「警察はどこだ」と広がる批判
動画が投稿されると、コメント欄にはすぐに批判が集まった。「どうして大人がこんなことを許すのか」「他の国なら保護者がすぐに法的責任を問われる」といった声が目立つ。「警察はどこにいるんだ」という書き込みも少なくない。 タイでは近年、危険運転やマナー違反の様子を捉えた動画がSNSで拡散し、世論の批判を受けて警察が後追いで捜査に乗り出すケースが増えている。今回の動画について、当局が運転していた人物を特定したり処分に動いたりしたという情報は今のところ伝えられていないが、同じ流れで対応が取られる可能性はある。
タイの交通ルールではどう扱われるのか
タイの法律に「子どもにハンドルを握らせてはいけない」という直接の条文があるわけではないが、危険な運転そのものを取り締まる規定は存在する。警察は速度計測の機器を使わなくても、運転が速すぎる、あるいは危険だと判断すれば、その場で反則切符を切ることができる。動画のように車が左右へふらつく走行は、この危険運転に当たりうる。 子どもの安全をめぐる規制も近年強まっている。プーケットではチャイルドシートの着用義務が導入され、違反すると2,000バーツの罰金が科される。前の座席で大人の膝に子どもを乗せ、ハンドルまで握らせる行為は、こうした安全規制の流れに真っ向から逆行するものだ。 プーケットは外国人観光客がレンタカーやレンタルバイクで島内を移動することの多い土地でもある。慣れない左側通行や入り組んだ交通事情のなかで、地元のルールを軽く見た運転がたびたび問題になってきた。今回の動画もその延長線上にあり、リゾート地の道路マナーをめぐる議論をあらためて呼び起こしている。
タイは交通事故による死者が人口比で世界的にも多い国として知られ、道路の安全意識の低さは長年の課題とされてきた。シートベルトやヘルメットの未着用、子どもを膝に乗せたままの運転といった光景は地方では珍しくなく、取り締まりが追いついていない面もある。今回のように動画が広まって初めて問題が可視化される構図は、その裏返しでもある。観光客が安心して訪れられるリゾートであり続けるためにも、こうした基本的な安全行動の底上げが問われている。
